役に立つオモシロ医学論文

1日3食が長生きの秘訣はホントだった? 米国での2万人調査で判明

1日3食をバランスよく
1日3食をバランスよく(C)日刊ゲンダイ

 規則正しい食事習慣は、健康の維持にとって重要だと考えられています。しかし、生活スタイルが多様化している現代社会においては、1日3回の食事をバランスよく摂取することが難しい方も多いでしょう。2009~10年にかけて実施された米国の調査では、食事を1日3回摂取しない人が、米国人の約40%に上りました。

 食事習慣は、糖尿病や肥満のリスクと関連することが知られています。しかし、人の寿命に与える影響については、質の高い研究報告が限られていました。そんな中、食事の頻度と死亡リスクの関連性について検討した研究論文が、栄養科学の国際誌に22年8月11日付で掲載されました。

 この研究では、1999~2014年にかけて米国で実施された国民健康栄養調査のデータが解析されています。

 解析対象となった40歳以上の2万4011人について、1日の食事回数(1回、2回、3回、4回以上)と、死亡リスクとの関連性が検討されました。なお、研究結果に影響し得る年齢、性別、喫煙状況、身体活動量などの因子で統計的に補正して解析されています。

 15年12月末までの死亡記録と照合した結果、1日の食事回数が3回だった人に比べて、1回だった人では、すべての原因による死亡のリスクが30%、心臓病による死亡のリスクが83%、統計的にも有意に増加しました。心臓病による死亡のリスクは、朝食を摂取していなかった人で多く、すべての原因による死亡のリスクは昼食や夕食を摂取していなかった人で多いことも明らかとなりました。

 論文著者らは「これまで、栄養と健康に関する研究は、主に食事内容に注目してきたが、食事の摂取タイミングや頻度との関連性に注目することも重要である」と考察しています。

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

関連記事