健康の「素朴な疑問」

臭いがきつく、こびりつく…おならばかりで便が出ないので心配

写真はイメージ(C)PIXTA
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【Q】ここ数カ月、臭いおならばかりで便がなかなか出ません。便が出ても便器にこびりつくため、妻に「お尻の世話ぐらい自分でして!」となじられます。何か、病気が隠れているのでしょうか?

【A】腸内の悪玉菌が増えて善玉菌が減っているのかもしれません。

 便の重量の約80%は水分で、残りの固形物のうち、食べかす、腸からはがれた粘膜、腸内細菌がそれぞれ3分の1ずつとなっています。

 腸内細菌には、糖類を分解して乳酸や酢酸などを作る善玉菌と、タンパク質などを分解して硫化水素やアンモニアなどを作る悪玉菌があります。

 通常、お通じが良いときは善玉菌が優勢になって発酵が起こり、便の臭いはあまり強くありません。

 しかし、悪玉菌が優勢になると腸内で腐敗が起きてガスがたまり、おならが出るとともに便は悪臭を放ちます。

 原因は肉ばかり食べているとか、ストレスがあるとか、加齢により消化酵素の分量が減少して消化不足に陥っているなどさまざま考えられます。

 便器にこびりつく粘り気のある便ということですから、血液混じりのタール便かもしれません。その場合は潰瘍性大腸炎や大腸憩室炎、クローン病、大腸がんの可能性もあります。

 また、おなら以外に上腹部や背部に痛みがある、吐き気があり嘔吐する、尿量が減る、体がつる、血圧が低下して脈が速くなるなどの症状が合併しているときは、膵臓に問題を抱えている可能性があります。一度かかりつけ医に相談するとよいでしょう。

(弘邦医院・林雅之院長)

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