タラコの始まりは明治の後半あたり。真鱈(まだら)の不漁の年に、卵巣を塩蔵して食べたのがきっかけといわれています。日本で流通・消費している魚卵加工品の約60%を占め、主にスケトウダラがタラコの原料として用いられています。厳密に“タラコ”と呼べるのは卵巣の半腹分で、二房一対ある卵巣はじつはタラコの原料という指し方をするそうです。
年中目にするタラコですが、旬は11月から1月の産卵期ですから、まさに今の時季! とても旬が短いので、日本で取れ加工されたタラコは大変価値が高いといえます。スーパーなどで流通する約9割はロシアやアラスカからの輸入品を凍結し、日本で加工しているものがほとんどです。
ちなみに、タラコの半分以上は辛子明太子の原料として利用されており、純粋なタラコとしての流通は4割程度だそう。日本では一般的に塩蔵したものをタラコ、唐辛子や酒、ダシで漬けたものを明太子と区別していますが、韓国では鱈のことを明太(ミョンテ)と言い、その子なので明太子と呼ばれているそうです。
さて、そんなタラコの栄養価は、体をつくってくれるタンパク質はもちろん多いのですが、それ以上にビタミンやミネラルが豊富なのが特徴です。生タラコ40グラム(小さめのタラコ1本分、タラコスパゲティ約1人分)で、貧血を予防するビタミンB12、糖質や脂質を燃やしてエネルギーをつくり出したり、二日酔いの原因物質を分解する働きのあるナイアシン、抗酸化作用がとても高いセレンは、一日の必要量以上を満たしてしまいます。また、体内の脂質酸化を防いでくれるビタミンEも一日の9割ほどの必要量をカバーしてくれる優れものです。
ただし、コレステロールや食塩は一日の必要摂取量の23%をカバーしてしまうので、タラコを上記量食べる場合は、塩味のある調味料を減らしたり、塩分を排出してくれるカリウムが豊富なサラダを食べるなど、食べ合わせに注意が必要です(30代女性で算出)。
近年は凍結技術も進んでいて、凍結直後はどのような方法で凍結したとしても品質に劣化が見られないことも報告されています。凍結しているから栄養価が悪いというわけではないですが、なるべく早いうちに食べ切るほうがおいしくいただけそうです。
時間栄養学と旬の食材