健康の「素朴な疑問」

ビールを飲んでもおしっこが出ない…何か病気が隠れている?

ビールには利尿作用があるが
ビールには利尿作用があるが

【Q】60代の男性です。先日、学生時代の仲間との忘年会でビールを飲んだ際、友人から「おまえ、トイレに行かなくて大丈夫なのか?」と言われました。そう言われてみれば、友人たちは二度、三度とトイレに立っていたのですが、私は一度もトイレに行きませんでした。居酒屋の奥の席でトイレに立つのが面倒くさいこともありましたが、トイレに行かなくても平気な私は何か病気なのでしょうか?

【A】ひょっとしたら「前立腺肥大」があるのかもしれません。この病気は前立腺の中の尿道を取り巻く部分が加齢により大きくなることで、おしっこの出が悪くなるなどの症状を引き起こします。

 一般的な膀胱(ぼうこう)の容量は300~400ミリリットルといわれ、尿が150~200ミリリットルたまるとトイレに行きたくなるとされています。普段は交感神経が働いて、膀胱の筋肉である膀胱平滑筋が緩み、膀胱の出口の筋肉である内尿道括約筋が収縮することでおしっこが外に出ないようにしています。逆におしっこをするときは膀胱平滑筋が収縮し、内尿道括約筋が緩むことでおしっこが外に出るのです。

 しかし、前立腺肥大症の人はアルコールを大量に取ると前立腺がうっ血して腫れることで尿道を圧迫しておしっこが出にくくなるのです。

 また、ビールには利尿作用があり、飲んだ量の1.5倍のおしっこが出るともいわれます。

 普段より膀胱に尿がたまると、体外に排出する力が弱くなり、尿の出が悪くなることに拍車をかけるのです。

 放っておくとまったくおしっこが出なくなり、より重大な疾患を発症しかねません。気になる人はかかりつけ医師に相談することです。

(弘邦医院・林雅之院長)

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