冬のかゆい乾燥肌を徹底対策 すぐにできる5つのポイント

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 冬になり湿度が低くなると、悩まされるのが「肌の乾燥」。かゆくて、無意識にかきむしってしまう人も多いのではないだろうか。

 年を取ると、肌は乾燥しやすくなる。新宿駅前クリニックの蓮池林太郎院長が言う。

「皮膚の表面には、皮脂やセラミドといった細胞間脂質や、尿素などの天然保湿因子が分泌されています。それらが水分と混じり、皮膚表面の水分量が一定に保たれています。ところが、加齢とともにこれらの成分の分泌が低下。皮脂膜が薄くなって水分が減少し、乾燥肌になります。子供や若者でも乾燥肌はいますが、高齢になるほど数はぐんと増える。『若いときはそうじゃなかったのに』という人もかなりいます」

 特に乾燥しやすい部位は、肘、腰回り、膝、すね、足の裏。もともと皮脂の分泌が少なく、乾燥がひどくなりやすい。

 たかが乾燥と思ってはいけない。

「乾燥がひどくなると強いかゆみを伴い、さらに悪化するとひび割れや皮むけなどが見られることもあります。赤みや水ぶくれなどを伴う湿疹が出ることがあり、これを皮脂欠乏性湿疹と呼びます。湿疹は放置しないで、悪化する前に皮膚科に行ってください。炎症を鎮めるステロイド外用薬が処方されるので、それを塗るようにしましょう」

 普段気を付けたいことは次の通り。

■保湿剤を使う

 入浴後は体温が高くなるため、乾燥した部位にかゆみが出やすい。また、皮脂も減少しており、速やかに保湿剤を全身に塗るように習慣化したい。高齢者で、中でも男性は、保湿剤を使う習慣がない人が少なくないが、乾燥肌になりやすい高齢者ほど保湿剤が必要。

「ドラッグストアで販売されている商品でもいいですし、皮膚科でヒルドイドという保湿成分が入った保湿剤を処方してもらうこともできます」

■長湯をしない

「長時間湯船に漬かると、本来必要な皮脂や角層内の保湿成分が流れ出てしまいます。湯船に漬かるのは長くても10~15分程度にしましょう」

■泡で肌をなでるように洗う

 体を洗うときは、ボディーソープの泡がふわふわになるまでよく泡立て、泡で肌をなでるように優しく洗う。

「乾燥が悪化し、肌がむけてポロポロと落ちているのを、『体をよく洗えてないのかな』と誤解し、入浴時に過剰に体を強い力で洗ってしまう人がいます。また、ナイロン製のタオルで肌を強くこすったり、洗浄力の強いボディーソープを適量より多く使って洗う人も。これらの行動では皮脂が過剰に洗い流されてしまうことになるので、乾燥した肌には大敵です」

 ボディーソープなどを使用せず、お湯だけで体を洗う。これを週に1、2度実行するのも、乾燥肌改善に効果的である。

■部屋の湿度を保つ

「冬は、入浴後にお風呂のドアを開けっぱなしにしておくか、加湿器を利用することをお勧めします。なにも高い加湿器を買う必要はない。安価なものでも、あるのとないのとでは大違いです」

■天然素材の下着にする

「意外と気をつけている人が少ないのが、下着。ここ数年、化学繊維のあったか系下着が定番化していますが、乾燥肌の人が着用すると、かゆみが生じることもあります。肌に直接触れる下着は、綿素材など天然素材で刺激の少ないものを選びましょう」

 チクチクする下着は避ける。サラッとして柔らかく、「肌に触れて気持ちいい」と感じるものを選ぶのもよい。

「乾燥肌に悩む人は相当増加している印象。昭和の時代なら、入浴は2日に1回という人もざらにいた。そう考えると、乾燥は過度な清潔志向が生んだ現代病とも言えるかもしれませんね」

「これぐらいで病院に行くなんて大げさ」と、かゆみを我慢しがちだが、就寝時にかゆみが生じるとよく眠れず、慢性的な睡眠不足となりかねない。気になる場合は、早めに皮膚科を受診しよう。

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