メガネを語る

アンティークがズラリ 東京メガネミュージアム<S・T・A・G・E>

(C)日刊ゲンダイ

 日本におけるメガネの歴史を明治初期まで駆け足で見てきました。私たちがそれを知ることができるのは、メガネについて丹念に研究し、その記録を残した先人がいたからです。そのひとりが明治16(1883)年創業の眼鏡小売専門店「㈱東京メガネ」(東京都世田谷区)の4代目経営者、白山晰也氏です。

 同氏は慶応義塾大学卒業後に㈱東京メガネに入社。1976年に代表取締役社長に就任。以降、業界団体の代表として業界の発展にも尽くす傍ら、世界中から収集した古今東西の貴重なメガネや資料を10年近い歳月をかけて研究し、「眼鏡の社会史」(ダイヤモンド社)としてまとめています。

 その博学ぶりからアメリカ国立博物館(スミソニアン)医科学部門海外コンサルタントを務め、眼鏡光学アンティーク・コレクターズクラブ(OAICC=本部ロンドン)の会員にもなり、世界のメガネの歴史に明るいことで有名でした。さらに、動体視力、深視力、運動指標追跡、視覚反応時間などスポーツに関係の深い視覚機能(スポーツビジョン)を解説し、そのトレーニング方法を詳述している「トップ・プレーヤーの目 スポーツ・ビジョン・トレーニング入門」(大修館書店)の監修者でもあります。

 そんな晰也氏が収集したコレクションのうち326点ほどが2005年に同社本社内にオープンした企業内博物館「東京メガネミュージアム<S・T・A・G・E>」で一般公開(要予約)されています。実際に足を運んでみると、その充実ぶりに驚かされます。世界中から集めたさまざまな形状のアンティークメガネのほか、メガネケースやスパイグラスなども展示されており、その中には徳川幕府15代将軍・徳川慶喜が愛用した天眼鏡(写真)や、室町幕府12代将軍・足利義晴が使用したメガネのレプリカも展示されています。

 また、日本を含め世界のメガネの歴史の流れが展示されており、とてもわかりやすく勉強になります。夏休みには親子連れや眼鏡学校の生徒たちの姿も多いとのこと。関心がある人は予約のうえ訪ねてみるといいでしょう。

(メガネウオッチャー・榎本卓生)

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