役に立つオモシロ医学論文

朝ごはんは糖質が多いほど目覚めがいい 海外学術誌で研究報告

睡眠時間を長めに
睡眠時間を長めに

 朝が苦手な方は多いと思います。目覚めが悪くなる原因として、睡眠の質や睡眠時間の長さ、運動習慣や食習慣が影響していると考えられます。しかし、これらの原因が目覚めの悪さにどれほど関連しているかを検討した研究は限られていました。そんな中、目覚めの良さに関連する要因を調査した研究論文が、自然科学分野の専門誌である「ネイチャーコミュニケーションズ」に、2022年11月19日付で掲載されました。

 この研究では、18~65歳の健常者833人(平均46.2歳、平均睡眠時間7.66時間)が解析の対象となりました。被験者に対して身体活動量を計測するためのセンサーを装着し、食事の摂取量や種類については、専用のアプリを使って記録してもらうよう指示しています。

 同時にアンケート調査を行い、睡眠の質や睡眠時間などが調査され、朝の目覚めの良さ(0~100点で評価し、点数が高いほど覚醒度が高い)との関連性が検討されました。

 解析の結果、普段の睡眠時間よりも長く眠ること、そして普段の起床時間よりも遅めに起きることが覚醒度の高さと関連していることが分かりました。一方で、睡眠の質と覚醒度に明確な関連性は認められませんでした。

 また、目覚めの良さは前日の活動量とも関連していることが示され、日中の活動量が多い人では覚醒度が高く、夜間の活動量が多い人では覚醒度が低いことに関連していました。さらに、朝食の内容も目覚めの良さと関連しており、糖質の多い食事では覚醒度が高く、高タンパクな食事では覚醒度が低いことに関連していました。

 朝が苦手な方は、睡眠時間を長めにとり、日中の活動量を増やし、糖質の多い朝食をとることで、目覚めを良くすることができるかもしれません。

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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