時間栄養学と旬の食材

【胡椒】善玉コレステロールを増加させ美白効果も高める

胡椒
胡椒

 香辛料のひとつである胡椒(コショウ)は、その利用の幅広さから「スパイスの王様」とも呼ばれています。強い辛みとさわやかな香りが特徴的で、ブラックペッパー(黒胡椒)、ホワイトペッパー(白胡椒)、グリーンペッパーなど種類がたくさんあります。

 どの種類の胡椒も同じ植物から採れるのですが、製法が異なります。ブラックペッパーは成熟した胡椒の実を皮ごと乾燥させたもので、辛みは刺激的。肉料理などによく使われますね。ホワイトペッパーは逆に実を10日ほど水につけた後、皮を取り除いてから乾燥させたもので辛みが少しマイルドになります。クセのない食材によく合う胡椒でしょう。グリーンペッパーは未熟な胡椒の実を乾燥させたり、フリーズドライさせたもの。潰さず丸ごと料理に使うことが多く、マリネやひき肉料理に使われます。

 また、赤く熟した胡椒の実はピンクペッパーと呼びますが、じつは現在ピンクペッパーとして一般的に使われているのはコショウボクの実。日本ではセイヨウナナカマドの実を指すこともあり、ペッパーと呼ばれているのに原料が違うケースも例外的にあります。そのため、コショウボクの実(ピンクペッパー)に辛みはなく清涼感のある風味が特徴です。

 そんな胡椒に含まれるほとんどの辛み成分のもとは、ピペリンと呼ばれる栄養素。胡椒の中ではブラックペッパーに多く含まれています。ラットを用いた実験にはなりますが、胡椒由来のピペリンを高脂血症モデルラットに食べさせると、悪玉コレステロールの増加や、善玉コレステロールの低下を抑えたり、さらには甲状腺ホルモンの値が改善したことがわかっています。また、ブラックペッパーを10週間摂取させた実験でも、アンチエイジングに関わる活性酸素を減少させたり、美白効果に関わるグルタチオン濃度を上昇させることも報告されています。

 さらに、ブラックペッパーから抽出したピペリンと疲労回復やアンチエイジングに効果的なコエンザイムQ10を一緒に摂取させたところ、単体で摂取した時よりもコエンザイムQ10の吸収がアップしたこともわかっています。コエンザイムQ10はイワシやサバ、豚肉などに多く含まれます。ぜひ、黒胡椒と共に召し上がってみてはいかがでしょうか。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

関連記事