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学校がライフライン…米国の10代女子のメンタルは危機的状況とCDC調査で判明

学校との繋がりはとても大事(C)iStock
学校との繋がりはとても大事(C)iStock

10代女子のメンタルが危機的状況にあることが、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)の調査でわかり、衝撃を与えています。

 このコラムではアメリカの若者のメンタル状況を度々取り上げていますが、今回の新たな調査結果は、問題にさらに大きなスポットを当てるものになりました。
というのも、10代女子の3人に1人が真剣に自殺を考えたことのあることがわかり、その数が10年前に比べ1.6倍にまで増えているからです。

 10代女子の15%はセックスを強制、つまりレイプされたことがあり、この数も2年前の1.3倍に増加。また5人のうち3人が、少なくとも2週間にわたり悲しみや絶望感を経験し、これまでの生活ができなくなったと答えています。

 中でも最も注目されたのは、ジェンダーギャップの大きさです。

 連日絶望感を覚えたという女子の数は男子の2倍。また自殺をしようと試みた女子は13%で、男子7%の2倍近い数です。

 なぜ男女にこれほどの差が出るのか? ある専門家は「女子の方が男子よりメンタルに対する認識度が高いことが考えられる」と答えています。別の識者は「女子の方がストレスや恐れを内側にためやすいのに比べ、男子はそれを怒りや攻撃的な態度に転化する傾向が強いからではないか」と分析しています。また、SNSでしばしば共有される「女性は魅力的であるべき」というメッセージや、押しつけられたボディイメージに、女性の方が左右されやすいことも、理由として考えられるとしています。

 一方パンデミック後に、家庭内暴力と女子への性暴力が増加したという事実も見逃せません。

 特に強い影響が出ているのがLGBTQで、22%が自殺未遂の経験があるという数字が出ています。また人種的マイノリティも、警察による暴力やヘイトクライムのトラウマに脅かされていることがわかっています。

 ひとつ興味深いのは、学校と強く繋がっている生徒は、メンタルを病む率が低いというデータです。学校をライフラインとしてどう活用して行けるかも、今後の課題となりそうです。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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