東洋医学を正しく知って不調改善

体調が優れない…「夏バテ」はよく聞くが「冬バテ」もある?

冬バテのケアを怠ると…
冬バテのケアを怠ると…(C)日刊ゲンダイ

 夏よりも昼夜の寒暖差が大きい冬では、日も短く日照時間も少ないために、気持ちは沈みがちとなるもの。そのため動く元気が不足しがち。寒さで体が冷え血管が収縮し血の巡りも悪くなる。さらに運動量の減少により筋肉が衰え、それにより体内で熱が十分につくられず疲れやすくなるわけです。

 それにもかかわらず年末年始を中心に、行事は多くなり人との交流も増え、その分なにかと気ぜわしく気も休まらず、ストレスを抱え気味となります。そういったことからくる不調が、いわゆる冬バテです。

 冬バテのケアを怠ると3月、4月まで不調を引きずりかねません。

 夏バテは秋をはさんで回復し冬を迎えられますが、冬バテはすぐに春を迎えていっそう活動が増すため、意識して対策を講じなければ回復しづらい。また、単に体を休ませるだけでは不十分な面もあります。

渡邊靖弘氏
渡邊靖弘氏(提供写真)

 冬バテの主な症状としては「頭痛、肩こり、下痢、便秘」「食欲不振」「寝つきが悪く、眠りも浅い」が代表的。さらには、「体が重く感じたり、イライラして集中力が低下する」「気分が落ち込む」「インフルエンザや風邪などの感染症にもかかりやすく、病気の治りも悪い」などがあります。

 日頃のセルフケアとしておすすめなのが、心身をリラックスさせる神経、副交感神経を優位にする運動です。太極拳やヨガなど、ゆったりと呼吸を行いながらできるものになります。

 お灸も効果的です。代表的なツボとしては、おへその指2本分下にある「気海」があります。カイロなどで温めても良く、10分おきぐらいに置いてじんわり温まったらやめ、再び温めることを繰り返すとよいでしょう。内くるぶしとアキレス腱の間にある「太渓」などは、お灸や足湯などで温めると効果的です。

 冬は、春に向けてエネルギーを蓄える季節。何事も心を穏やかに、リラックスして過ごすことを意識しましょう。

渡邊靖弘

渡邊靖弘

日本医学柔整鍼灸専門学校専任教員、日本伝統鍼灸学会理事、和ら会会員、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師。

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