健康長寿のカギは腎臓にあり

尿の色がコーラのような色味ならすぐ病院へ…血尿の可能性

写真はイメージ
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 尿の色が最近濃いように思うけど、これは腎臓が悪いせい?

 こんな質問を受けたことがあります。その「濃い」がどの程度の色なのかはわかりませんが、軽度の腎機能障害では尿の色が濃くなることはまれです。

 尿の色が濃い場合、よくあるのは脱水症状です。しかし、たとえば「尿の色がコーラのような色味」ならば、それはすぐに病院に行っていただきたいと思います。尿の中に血液が混じって血尿になっていると考えられるからです。 

 血尿には、目に見えて色に変化がある「肉眼的血尿」と、目に見えて変化はないけれど血が出ている「顕微鏡的血尿」の2つのパターンがあります。お手洗いで尿がコーラ色でおかしいと思った時は「肉眼的血尿」であり、健康診断で指摘されたけれど自覚がない場合は「顕微鏡的血尿」であることが多いです。

 健康診断などでは尿試験紙法と呼ばれる血尿のスクリーニング検査を行います。そこで「尿潜血3+、尿潜血2+」などの結果が出ている場合は顕微鏡的血尿が出ていると考えられます。

 血尿が出ている場合に、その原因として考えられるのは、腎臓の病気、膀胱・尿管などの泌尿器科の病気などです。腎臓から血尿が出ている場合は腎臓の糸球体に何らかの異常が起きて血尿が出ている可能性があります。

 特に、タンパク尿と血尿が尿検査の結果で共に認められた場合は、腎臓になんらかのエラーが出ている疑いが大いにある。ですから急ぎ腎臓の状態をチェックするために、腎臓内科がある病院に行っていただきたいのです。

 尿鮮血の原因となる腎臓の病気は、IgA腎症などの免疫の病気やアルポート症候群などの遺伝性の病気があります。腎臓からの血尿以外には、尿管や膀胱などからの血尿があります。膀胱炎、尿路結石、膀胱がんなどの可能性があり、こちらは泌尿器科で診察を行うといいでしょう。

 いずれにしても血尿が出ているという検査結果が出たなら、その原因を突き止める必要があります。

 なお、健康診断などで血尿が認められ、医療機関を受診した場合には次のような検査が行われるかと思います。顕微鏡での精密な尿検査(尿沈渣)・尿の悪性細胞の検査(尿細胞診)・画像検査。

 当院でも、尿潜血が出た患者さんの診療を行っています。その流れとしては、初診日に医師の診察+尿検査+(必要に応じて)血液検査を。再診の時には必要に応じて、腹部エコー検査をして、結果説明となります。

森維久郎

森維久郎

三重大学医学部卒業。日本腎臓学会専門医。2020年5月、腎臓内科、糖尿病内科、生活習慣病の診療に特化したクリニックを開院。腎臓について伝える情報サイト「腎臓内科ドットコム(https://jinzonaika.com/)」を監修。

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