科学が証明!ストレス解消法

オシッコを我慢すると判断力が上がり自制心が強くなる

写真はイメージ(C)PIXTA
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 世界各国の論文を見ていると、時折、驚くような内容のものがあります。本日は、その一例を紹介したいと思います。

 カリフォルニア州立大学のブランドンらの研究(2015年)に、「オシッコを我慢するとウソがバレづらくなる」というものがあります。この実験は、22人の被験者を対象に、11人は水700ミリリットルを、残りの11人には水50ミリリットルを飲んでもらった上で、双方のグループに社会性やモラルに関するインタビューを行ったそうです。

 あらかじめ22人の被験者には、“ウソの意見”を言うようにお願いしていたというのですが、両グループを比較したところ、700ミリリットルを飲んだ11人のウソは見破りづらかった──という結果が明らかになりました。

 研究を主導したブランドンによれば、尿を我慢している方が集中できるため、上手なウソにつながるのではないか……ということらしいのですが、個人差もあるため一概には言い切れないでしょう。

 そもそもウソがバレづらくなるということを、科学的に立証できるのか? これも大きなポイントです。ウソをつくことは、我々が想像している以上に複雑なんですね。

 神経というのはすべてが連動し、スムーズにつながるために自動化して動いています。ウソをつくということは、神経の自動化をわざわざ1カ所だけいつもと違う状態にするようなもので、その1カ所がほころびとなって不自然な動きとして表面化してしまうわけです。まばたきが多くなるなどは、まさにウソをついたことで生じる神経の誤作動のひとつです。

 私は大学の授業で「筆跡鑑定」を扱うのですが、他者の文字を真似て書いても無理が生じてバレてしまうと教えています。たとえば、丸みのある部分を真似しても筆圧はその人のままなど、必ずほころびが出てしまうからです。

 自分の筆跡が出来上がるまでには、小学生の頃から高校生の頃くらいまでかかるわけで、そう簡単に真似できないし、変えることもできません。

 ウソをつくとは、自分の中で自動化しているものを変えるということでもあるのです。ですから、尿意でウソがバレづらくなると、なかなか言い切れないでしょう。

 その一方で、2011年にイグ・ノーベル賞を受賞したトゥウェンテ大学の論文に、「尿意を我慢すると判断力が上がり、自制心が強くなる」というものがあります。

 この論文によれば、尿意を我慢していることから、無駄な動きをしない=脳が体に抑制の指令を送り、非効率的な行動をしないように自制心が高まると指摘しています。  この実験では、我慢している人とそうでない人に言葉を投げかけ、その言葉から想像する色を答えてもらったり、衝動的な金銭上の意思決定に対する抵抗力などを調べたりしたそうです。その結果、一定以上の不快感を超えなければ、尿意を我慢すると判断力がより上がると結論付けたといいます。ですが、それを求めるがあまり万が一、漏らしてしまったら……。無理に我慢せず、スッキリさせたほうがいいと思うのは、私だけでしょうか?


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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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