医者も知らない医学の新常識

1日3杯を継続的に飲むのはいいが…コーヒーは不整脈を増やす?

写真はイメージ
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 コーヒーを1日3杯くらい飲む習慣が、糖尿病や心臓病、肝臓病などの予防につながり、生命予後にも良い影響を与えることは、これまでの多くの研究や調査で証明されている事実です。ただ、それは継続的にコーヒーを飲んでいる人の場合です。コーヒーにはカフェインが多く含まれていて、カフェインには心臓を刺激して不整脈を増やすという可能性があります。カフェインを普段とっていない人が、カフェイン入りのコーヒーを飲むことによって、心臓に負担がかかり、不整脈が増えるような心配はないのでしょうか?

 今年のニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンという、一流の医学誌に、カフェイン入りのコーヒーを飲むことによる、急性の影響を検証した論文が掲載されました。アメリカで18歳以上の健康な100人の男女に、2週間カフェイン入りのコーヒーを飲んでもらい、飲まない時と比較して1日の不整脈を検査しました。

 すると、上室性期外収縮という不整脈には差はなかったのですが、心室性期外収縮という不整脈については、コーヒーを飲む人で増加が認められました。コーヒーを飲むと活動的になって、1日の歩数が増え、睡眠時間が少し短くなることも確認されました。これはいずれも大きな健康への影響はない変化ですが、普段から不整脈を指摘されているような人では、ノンカフェインの飲み物を選ぶのが安心かもしれません。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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