気になる運動不足。一念発起して筋トレにチャレンジしたら、筋肉痛でぐったり……。加齢によって衰えが大きく目立つのは「筋肉」です。20歳の筋肉量から比較すると、70歳では30%の低下が見られるとされています。老化とともに筋肉を構成する筋線維の数が減り、そのうえ萎縮も進むことで筋肉量が減ってしまうのです。
また年々、運動量が減ることによって筋力はいよいよ低下し、筋肉量も減少。一生動ける体づくりのためには日々の適切な運動は欠かせませんが、食養生による体の中からの「筋トレ」も重要です。
中医学において質のよい筋肉づくりのために重要とされるのが、人間のエネルギー源である「気」を補うこと。気の補充は、スポーツにおける持続力を高めることにも役立ちます。
おすすめの食材は「鶏の手羽先」。薬膳では、肉はその部位ごとに異なる効能があるとしています。手羽先には鶏肉本来の気を補う作用に加え、中医学で「強筋骨」という効能があるのです。
その強そうな字面の通り、筋肉と骨の強化に威力を発揮。しっかりした筋肉を育むために普段からコンスタントに取り入れ、運動後のアフターケアとして摂取するとよいでしょう。
また手羽先は、腰痛、膝痛の改善にも役立ちます。シニアにとっては欠かせない、まさに「足腰の友」といえる存在なのです。
その効能を存分に取り込むためには、スープや煮ものといった料理に使って骨のエキスまでしっかりと摂取するのがおすすめです。筋肉痛改善効果を高めるには、同様の効能を持つブドウやココナツなどと組み合わせるといいでしょう。
また、つらい痛みを速やかに緩和して回復を早めるためには、血行を促進する食材も併せて取り入れるのがおすすめ。血流をアップすることで、筋肉のこりや疲労がやわらぐのです。タマネギ、黒キクラゲ、カレー粉に含まれるターメリックなどが血の巡りのアップに役立ちます。 (水曜掲載)
■鶏手羽先高齢薬膳レシピ
鶏手羽先のカレースープ
筋肉を強化する鶏手羽先と、タマネギ、黒キクラゲ、カレー粉を組み合わせたレシピ。鶏手羽先のうまみが染み出したスープは滋味あふれるおいしさ。カレーしょうゆ風味で、ごはんにも合うおかずスープです。
【材料】2人分
●鶏手羽先 6本
●タマネギ 2分の1個
●黒キクラゲ 3グラム
●ネギ(青い部分) 5センチ
●ショウガ 1かけ
●A(しょうゆ大さじ2、みりん・酒各大さじ1、カレー粉小さじ2分の1)
●クコの実 適量
●サラダ油、塩、コショウ 適量
【作り方】
鶏手羽先は関節で切り、太い部分を半分に切り、塩・コショウをふる。フライパンに油を熱し、手羽先の両面をこんがり焼いて取り出す。鍋に水3カップ、焼いた鶏手羽先を入れて熱し、煮立ったらアクを取り除く。
薄切りにしたタマネギとショウガ、食べやすく切った黒キクラゲ、ネギ、Aを加えて15分煮る。塩・コショウで味を調え、あればクコの実をちらす。
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