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まるで“身にまとうサプリ”のような機能性フレグランスが注目されている

写真はイメージ(C)iStock
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 アロマテラピーはもうすっかりお馴染みですが、身にまとうことでサプリのようにストレスを解消したり、更年期の症状の軽減の効果も持つ、機能性フレグランスが注目されています。

 人間の五感の中でも臭覚は最も早く脳に到達し、特に感情を左右することで知られていますが、機能性フレグランスはこの特性を強く意識して作られています。

 ナチュラルなサプリやスキンケアが人気のThe Nue Co.(ザ・ヌー・カンパニー)では、3種類の機能性フレグランスを出しています。「フォレスト・ラング」は、日本の森林浴からインスピレーションを得て、フィトンチッドの香りを再現。身につけるとまるで森の中にいるような、リラックスした気分になれるというのが売り物です。

 同様に「ウォーター・セラピー」は海をイメージさせる香り、また「マインド・パワー」は、セージやジュニパーなどのスパイシーな香りが神経細胞を活性化し、集中力を高める機能を謳っています。筆者は「フォレスト・ラング」と「マインド・パワー」を嗅いでみましたが、香水というより、植物に薬膳をブレンドしたような、深呼吸したくなるような新しい香りの体験でした。

 他にも色々出ていて、Vyrao(ヴィレオ)の「ザ・シックス」は、レイキや気功と中国伝統医学の技術から生まれた、マインドフルネスを強く意識したフレグランス。Abel(アベル)の「ポーズ」は、更年期と香りの関係を研究により作られた、ホルモンのアンバランスによる感情の乱れを軽減する香り。

 これまでフレグランスといえば、ハイエンドのブランドやセレブがデザインしたものが主流で、どちらかというと他人に対して香らせるものでした。しかしこれからはウェルネスやマインドフルネスに寄った、ナチュラルでクリーン、そして機能性を持った「自分のための」香りが、ますます注目を集めそうです。

 特に若いZ世代を中心に、メンタルを中心とした日々のセルフケアは、私たちの毎日に不可欠になって来ています。機能性フレグランスのトレンドは、こうした現実とも無関係ではありません。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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