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アメリカは世界でもまれな“公衆トイレ砂漠”…その理由は?

内側から鍵を閉めると外壁のガラスが不透明になる仕組みの渋谷区の公共トイレ/(C)iSTock

 東京の街で移動中にトイレに行きたくなったら、まずどこに向かいますか? おそらく駅でしょう。でもニューヨークの地下鉄駅でトイレを探しても見つかりません。

 ニューヨーク、いやアメリカは世界でもまれなる公衆トイレの砂漠地帯です。

 2021年イギリスのトイレ用品会社の調査によると、人口当たりの公衆トイレの数が最も多いのは、アイスランドで10万人当たり56個。それに比べニューヨークは10万人あたりわずか4個、全米の平均は8個で、どちらも大して変わりません。同じ調査で日本は11個となっていますが、東京など中心部はもっとずっと多い感じがします。少なくとも、ニューヨークのように、やっと見つけたホテルのトイレは宿泊客専用で、鍵がかかっていたというような悲しい経験はありませんから。

 ではなぜニューヨークには公衆トイレがこんなに少ないのか? ニューヨークタイムスの記事によれば、1930年禁酒法の時代には、200万個ものトイレが公園などに設置されたそうです。それまでのようにバーで用を足せなくなったからというのが理由です。 

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シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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