海鮮の高級食材といえばウニを挙げる方も少なくないでしょう。漢字で書くと「海胆」「海栗」「雲丹」の3種類。栗のような外見から生のウニを「海栗」、生のウニを取り出した身の部分を「海胆」、食品として加工されたウニが赤色の雲のように見えることから「赤い」という意味を持つ丹の字を当ててつけられた「雲丹」。それぞれ状態の違いで漢字も変わってきて面白いですね。
夏が旬のイメージもありますが、バフンウニは6~8月、ムラサキウニは7~8月、エゾバフンウニやシラヒゲウニは9~11月ごろで、さらに産地やエリアによっても収穫月が変わります。たとえば北海道の場合、襟裳1~3月、羅臼2~5月、雄武4~6月、枝幸5~7月……と、ウニの旬はほぼ通年と言ってもよいでしょう。
私たちが食べているウニの身は実は生殖巣。雄のウニであれば精巣、雌のウニであれば卵巣を食べることになりますが、たいていのウニは雌雄の差を見分けることはとても難しいので、どちらを食べているかはわからないそうです。
大量に食べる機会が少ないのでなかなか栄養素まで考えることはありませんが、意外といろいろな栄養素が詰まった食材なのです。まずは、貧血防止に効果的とされ、妊活・妊娠中の女性にはぜひ取ってほしい葉酸。妊娠初期の胎児が脳や神経を形成するために流産や先天性異常などのリスクを減らすために必要不可欠な栄養素といわれています。
そして、疲労回復効果が高いビタミンB1、肌荒れに効果的なビタミンB2、抗酸化作用が高いビタミンEなどに加え、朝に食べることで体内時計をしっかりと動かしてくれる働きのあるDHA・EPAも豊富に含まれています。
そんなウニは1個(10グラム)当たり12キロカロリーと意外に低カロリー。食事中のコレステロールは血中のコレステロール値に直接的に影響を与えないことから摂取量の基準値は定められていませんが、日本人の食事摂取基準(2020年版)では、脂質異常症の重症化予防を目的にコレステロールを200ミリグラム/日未満にとどめることが望ましいとしています。
そうした気になるコレステロールは生ウニ1個当たり29ミリグラム。一度に大量に食べることがそもそもの危険因子です! 適量を守りながらおいしく旬を満喫したいですね。
時間栄養学と旬の食材