だからあなたの頭痛は治らない

化粧品売り場で働くようになった途端に片頭痛が悪化した理由とは?

何度も繰り返して起こるのが一次性頭痛
何度も繰り返して起こるのが一次性頭痛

 検査をしても異常が見つからない「一次性頭痛」と、くも膜下出血や脳出血、脳腫瘍のように何らかの病気の症状として起こる「二次性頭痛」。

 頭痛には、これら2つのタイプがあることを前回お話ししました。今回は一次性頭痛の正しい対策方法をお話ししたいと思います。

 何度も繰り返して起こるのが一次性頭痛(慢性頭痛)で、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などがあります。このタイプの頭痛に長く悩まされている人は、「体質だから仕方ない」「もう一生つきあっていくしかない」と、頭痛をあきらめて受け入れてしまっていることが多い。

 けれど、私は「あきらめないでください!」と声を大にして言いたいのです。なぜならば、頭痛はタイプ別に適切な治療を行えば、個人差はあれ、つらさが軽減されるからです。

 今回は片頭痛についてお話しします。頭の片側だけでなく、後頭部や頭全体などがズキンズキンする、締め付けられるように痛む頭痛です。ときに吐き気やめまい、耳鳴りなどを伴い、体を動かすと症状が悪化することもあります。強い香り、光、音に弱いのも、片頭痛の特徴です。

 こんな患者さんがいらっしゃいました。その方は出勤すると、決まったように片頭痛が悪化する。しかし、休みの日はそこまでひどくはならないのです。

 よく話をうかがうと、勤務先はデパートの化粧品売り場で、化粧品や香水の香りがフロアを満たしているとのこと。頭痛持ちでない人にはなんということのない香りのレベルでも片頭痛の人には誘発因子になることは往々にしてあります。

 私は「強い香りが片頭痛を招いている」という内容の診断書を書き、それとともに異動願を出すよう、患者さんにアドバイスしました。後日それが受け入れられ、ほかのフロアに異動。以降、片頭痛を起こす頻度が激減しました。

 化粧品や香水だけではなく、たばこのにおいが漂う場所で片頭痛が発生するというのも、患者さんから多く聞かれる例です。近年はたばこが吸える場所は限られており、吸わない人がその香りと遭遇することは少なくなりましたが、片頭痛持ちの人は気をつけるに越したことはないでしょう。

「強いにおい」以外にも、「朝起きていきなり日光を浴びる」「大きい音を聞く」「パソコンやスマホを長時間見続ける」は極力避けてください。脳が興奮状態になり、片頭痛が発生しやすくなります。片頭痛に、におい、光、音、ブルーライトなどの刺激は厳禁。それらを念頭に置き、日頃から脳に余計な刺激を与えないよう、心がけましょう。

清水俊彦

清水俊彦

東京女子医大脳神経外科客員教授。「汐留シティセンターセントラルクリニック」の頭痛外来には全国から患者が訪れる。

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