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「笑いヨガ」が血糖値を下げる? ホルモンに関する学術誌で報告

笑う頻度の高さは長生きに関連する
笑う頻度の高さは長生きに関連する(C)日刊ゲンダイ

 よく笑う人では、そうでない人に比べて、心臓病のリスクが低く、幸福度も高いことが知られています。また、笑う頻度の高さは長生きに関連することを報告した研究もあります。

 笑いと深呼吸を組み合わせた健康体操は「ラフターヨガ」と呼ばれ、日本では「笑いヨガ」として注目を集めています。笑いヨガは、世界100カ国以上で実践されており、ストレスの軽減や食後の血糖値の上昇を抑える効果が報告されていました。

 そんな中、糖尿病に対する笑いヨガの有効性を検証した研究論文が、ホルモンに関する学術専門誌に2023年3月31日付で掲載されました。

 この研究では、糖尿病を患う日本人42人(平均71歳、女性67%)が対象となりました。

 被験者は、標準的な糖尿病治療に加え、笑いヨガプログラムを12週間にわたり、合計8セッション行うグループ(笑いヨガ群)と、標準的な治療のみを行うグループ(対照群)にランダムに振り分けられ、HbA1c値や体重の変化、睡眠時間などが比較されています。HbA1c値とは、1~2カ月間の血糖状態を反映した検査値のことで、正常値の目安は5.6%未満です。

 解析の結果、研究開始時から12週後のHbA1c値は、笑いヨガ群で7.07%から6.82%と、0.24ポイント低下した一方、対照群では7.19%から7.26%と、0.07ポイント上昇していました。つまり、笑いヨガ群の被験者では、血糖値が長期的に改善していた可能性があるのです。睡眠時間についても、対照群と比べて笑いヨガ群で0.4時間の延長傾向を認めました。一方、体重については両群で明確な差を認めませんでした。

 論文著者らは「笑いヨガは、糖尿病の自己管理を行う上で、簡単で楽しく、かつ効果的な選択肢になり得る」と結論しています。

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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