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【シシトウ】がん予防に加え美肌効果あり 血管の健康も保ち免疫力アップ

βカロテンはピーマンより豊富
βカロテンはピーマンより豊富

 シシトウ(獅子唐)は中国をはじめとする東アジアの原産の野菜で、実の先端が獅子の頭の形状をしていることから名づけられたといわれています。

 古くから薬草としても大切にされていて、中国2000年の歴史の中で料理や漢方など幅広く利用されてきました。日本へは16世紀にポルトガル船によって持ち込まれた、朝鮮から持ち帰られたなど諸説あるものの、それでも歴史の深い野菜のひとつです。

 正式名称は「シシトウガラシ」と呼びますが、海外では「shishito」と日本名で通じたり、「Wrinkled Old Man」(シワだらけのおじいちゃん)と別称で呼ぶことも! まさにシシトウの形状にぴったりの愛称で可愛らしいですよね。

 シシトウは品種改良によって辛みを抑えた甘み種として栽培されています。カプサイシンは含まれるものの、通常の唐辛子と比べると低いため、辛みの感じ方も軽いです。ただし、完全に辛みがないわけではなく、個体によってはわずかに辛みを感じることもあります。ただ、辛くなる原因はまだ究明されておらず、乾燥などのストレスから自衛するために辛くなるという報告はあります。家庭菜園などで育てる場合は、こまめな水やりなどでストレスを与えないことが必要かもしれません。

■β-カロテンはピーマンより豊富

 そんなシシトウの栄養価の特徴はなんといってもピーマンより多いとされるβ-カロテンです。

 免疫機能を維持するために必要な栄養素で、抗酸化作用によりがんの予防効果が期待されています。また、抗酸化作用や美肌効果があり、肌の健康を維持するビタミンCや、高血圧の予防に効果的なカリウムも豊富に含まれます。

 また、フラボノイドにも注目したいですね。シシトウのフラボノイドは、ビタミンCの働きを強化するという特性に由来しています。フラボノイドには、抗酸化作用や抗炎症作用があり、血管の健康を保つ効果や免疫力を高める効果があるとされています。血管の通りを良くする働きやアレルギー反応の軽減、がんの予防などにも関与している可能性があります。ビタミンCも含まれますので、一石二鳥の食材と言えるでしょう。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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