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「上腕二頭筋腱損傷」への治療は2通り 保存療法と手術療法

実際の治療では…
実際の治療では…

 先週かつ先々週の記事では、上腕二頭筋腱損傷という病気があること、そしてMRIなど画像だけでは診断が難しいことをお話ししました。ある方向に腕を動かすことで痛みが生じたり、夜間痛が起こったりする上腕二頭筋腱損傷について、どういう治療が行われるか、お伝えしたいと思います。

 治療方法には大きく分けて、保存療法(非手術療法とも呼びます)と、手術療法があります。まずは保存療法からお話しします。

 保存療法は、手術などで直接原因を取り除いたりするのではなく、手術以外の方法で症状の改善や緩和を目指す方法です。

 やり方はいろいろありますが、主なものとしてはまず、超音波下で上腕二頭筋腱へ少量の局所麻酔剤を注射する注射療法。

 次に、衝撃波を皮膚の上から患部に照射する体外衝撃波。そして、カテーテルという非常に細いチューブを血管の中に挿入する運動器カテーテル治療があります。

 注射療法に関しては、橋内智尚医師(西奈良中央病院整形外科)が国際医学雑誌に治療成績を報告しています。また、体外衝撃波に関しては、見目智紀医師(北里大学医学部整形外科学)が、運動器カテーテル治療は東京の奥野祐次医師(オクノクリニック)が、それぞれ医学雑誌に治療成績を報告しています。

 一方、手術療法は多くの医師が報告していますが、上腕二頭筋腱を関節内から切離し、長頭腱スクリュー(ねじ)を用いて腱を固定する「上腕二頭筋固定術」が多く報告されています。

 実際の治療では種々の治療を組み合わせていくことになります。治療方法の名前だけでも頭の片隅に入れておいてください。

森大祐

森大祐

整形外科全般診療に長年携わる。米国トーマスジェファーソン大学で人工肩関節の臨床研究を行い、2000例超の肩関節手術を経験。現在は京都下鴨病院で肩関節や肘関節、スポーツ障害患者に診療を行う。サイトで整形外科疾患の情報を発信。

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