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睡眠の質を高める鍼灸…古来より「失眠」は不眠の特効穴

写真はイメージ
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 睡眠不足の日々を送っていると、疲労回復が十分にできませんから、日中疲れやすくなります。やる気が出ず、感情のコントロールがうまくいかずイライラしやすくなり、負のスパイラルを生み出しがちです。さらに、睡眠不足の蓄積が、糖尿病などの生活習慣病、がん、うつ病などの発症リスクを高めることが近年の研究結果から明らかになっています。

 ではただ単に長時間睡眠をとればよいのかというと、必ずしもそうではありません。「睡眠の質」が重要になってきます。

 ここでいうところの「睡眠の質」とは、寝つきの良さや途中で目覚めたりしないかなど、良質な睡眠を意味します。そんな睡眠の改善にはお灸がお勧めです。

 お灸をすえる代表的なツボとして、かかとの中央あたりにある「失眠」があります。

 このツボは古くから不眠の特効穴ともいわれ、睡眠の質を高める効果が期待できます。不眠のほかに下半身の冷えやむくみの改善などにもよく使われています。

 ツボを指や棒などで押すのもよいのですが、特にお灸がとても効果的。薬局で市販されている簡易式のお灸を使ってのセルフケアでも大丈夫です。お灸に火をつけ温かく心地よくなるまで待ちましょう。ただし熱いと感じたらすぐに外すなどして、やけどには注意してください。

 1回で温かさを感じられない場合は、温かく感じるまで繰り返しましょう。そのうち眠りに入りやすくなったり、途中で目覚める回数が減ったりすることでしょう。

 人間は頑張って起きていることはある程度できても、頑張って眠ることはなかなか難しいといわれています。

 だからといって眠れない時に「眠れる方法」を、スマホを使いネット検索するなどすると逆効果。眠れない時こそスマホは手放し、部屋の温度や照明の明るさなどの環境を整え、ベッドに入り静かに目を閉じてゆっくりと深呼吸をしましょう。

 またお灸の香りにはリラックス効果もあるといわれています。眠れない夜にぜひ試してみてください。

大橋理那

大橋理那

日本医学柔整鍼灸専門学校専任教員。はり師、きゅう師。

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