患者に聞け

狭心症(4)手術中の医師の会話が丸聞こえ「ここが詰まっているね」

治療は難なく終了したが…
治療は難なく終了したが…

 今年3月下旬、関東圏に住むプログラマーの東海林治郎さん(仮名=68歳)は、都内の循環器専門病院で、「狭心症」のカテーテル治療を受けた。

 当日の午前。病衣に着替えた東海林さんは、手術室のベッドに横になると、まず足の付け根を消毒された。事前に手術の詳しい説明を受けていたため、不安はなかったという。局所麻酔を打ち、足の付け根から先端にバルーン(風船)とステント(筒状になった網目の金属)が装着されたカテーテルを冠動脈までゆっくりと挿入された。痛みはほとんどない。カテーテルが血液の流れが滞っている局部に到達すると、まずバルーンが膨らみ、血管が拡張された。その後、拡張された血管の局部にステントが留置され、拡張を保全する。

「局所麻酔ですから意識ははっきりしていて、医師たちの『ここですね』といった声が聞こえていましたね」(東海林さん)

 血管拡張の役割を終えたバルーンはしぼみ、カテーテルと一緒に抜き取られ、ステントは留置された。

「だいたいこの治療時間が1時間半ぐらいだったでしょうか」

 治療は難なく終了し、「はい、終わりましたよ」という医師の明るい声を受けて、ストレッチャーで病室に戻された。

「思っていたより早く終わりました。でも、少し困ったのは術後の姿勢で、ベッドに寝たまま6時間絶対に安静にしてほしいと不動の要請がありました。寝返りはもとより、手足ひとつ動かせません。食事もトイレも寝たままでした」

 それでも痛みが伴うような難解な施術ではなく、アッという間に済んだことに東海林さんはホッと胸をなでおろした。天井を見ながら、現在抱えている仕事のことを考えていたという。(つづく)

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