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週末や祝日は太りやすい? 年末年始はより急激に体重が増加

OFFには気が緩むから?
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 肥満は、心臓病、脳卒中、糖尿病、自尊心の低下、うつ病など、さまざまな病気の発症や心理的な悪影響と関連することが知られています。むろん、成人の体重は常に一定ではなく、1日ごとにわずかな変化を認めます。しかし、体重が増加しやすい時期やタイミングについて、詳しいことは分かっていませんでした。そんな中、年間の体重変化を分析した研究論文が、米国医師会のオープンアクセスジャーナルに、2023年7月27日付で掲載されました。

 オーストラリアで行われたこの研究では、18~65歳の375人(平均年齢40.2歳、平均体重84.0キロ)が解析対象となりました。研究参加者に対して、可能な限り毎日(少なくとも毎週)体重測定を行ってもらい、遠隔モニタリング装置を介して体重データが収集されました。

 集められたデータから1日の体重変化量が見積もられ、曜日や季節、祝日との関連性が検討されています。

 解析の結果、年間の体重増加量は中央値で0.26%(218グラム)でした。体重は1週間で0.3%(252グラム)変動し、月曜日と火曜日で最大となりました。月曜日を基準とした体重変化は、水曜日以降に減少し、金曜日ではマイナス0.18%でしたが、週末から月曜日にかけて再び増加しました。

 また、体重は夏に最大となり、秋で最小となりました。夏を基準とした体重変化は、秋でマイナス0.47%、冬でマイナス0.23%、春でマイナス0.27%でした。さらに、クリスマスや年末年始では、前週比較でプラス0.65%と、急激な体重増加を認めました。

 論文著者らは「南半球の国で行われた研究であり、北半球では季節や気候の変化、祝日などが異なるため、この結果を広く一般化できるわけではない」としつつも、「体重増加の予防には、太りやすい時期を考慮に入れることが正当化される」と結論しています。

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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