科学が証明!ストレス解消法

子どもがSNSで悪い噂の対象になっていたら親はどうすべきか

写真はイメージ
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「あの子、〇〇したらしいよ」「こういうこと言ってたんだって」──こうした噂は大人同士でも飛び交いますが、子どもも同様でしょう。子どもたちの間でもいろいろな噂が飛び交っているわけです。小学生でもスマホを所有する時代、そうした噂はメッセージアプリやSNSを通じて、大人たちの目が届かないところで取り交わされている可能性もあります。

 もし、自分の子どもがそうした噂の的になっているとしたら、親としてどのような対応をするべきでしょうか?

 噂の発生のメカニズムには少なくとも2つの心理学的な現象が含まれています。

 1つは「確証バイアス」。確証バイアスというのは、人は「自分の意見や価値観に都合のよい情報しか見ない」という歪んだものの見方です。人間は、自分にとって都合のよい情報を信じようとしますが、これは確証バイアスによるものです。

 もう1つが「同調」と呼ばれる集団心理です。米ニューヨーク大学のドイチとジェラルドは、集団に同調するメカニズムを「規範的影響」と「情報的影響」に分けています。前者は、集団に認められたい・制裁を避けたいという欲求から集団規範に合った態度や行動を取る影響。後者は、何が正しいかわからないとき他者や集団の言動を「正しいもの」として受け入れて、それに合うような行動を取る影響を指します。

 例えば、噂は誰かの発言(多くは悪口)から始まります。これを聞いた誰かが、誰もその人の擁護に回らないと、その集団の中で、その人の悪口を言う「流れ」のようなものが発生していきます。流れを壊すような意見を言うと「仲間外れにされるんじゃないか」という不安から意図的に合わせるような発言をしてしまう……。これが同調です。

 その結果、「その人は悪い人」という方向に一気に傾く。そして、確証バイアスによって、その人に関する良い側面が忘れ去られ、場合によっては尾ひれが加えられていきます。このような状況になってしまった場合、その集団の中から信頼されている人に噂を否定してもらうことが有効な方法となります。信頼されている人の発言は「正解」として情報的影響が働く可能性があるからです。

 子どもにとって、親とは信頼される存在でなければいけません。あなたは何としても子どもの味方になる。周りがどう言おうと、自分が信頼している人(親)が信じてくれているという事実は、勇気を与えます。

 バイアスはまるでフィルターのように働き、都合のよいことだけをチョイスするようになります。いわば目の前を霧が覆っているような状況です。子どももどうしていいかわからなくなっている。

 だったら、そのバイアスを上書きするような助言やサポートをしてみてはいかがでしょうか。上書きされれば、子どもはその方に向かって、都合よく考えられるようになります。同じ方向ばかり見てしまうから悪循環してしまう。子どもが別の方を向けるようなアドバイスやサポートを心がけること。それこそが、悪い噂に惑わされない子どもの成長につながるはずです。


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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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