科学が証明!ストレス解消法

知的作業に集中する前に「水」を飲むと、脳が活性化する

水を飲むことで脳の活性化につながる
水を飲むことで脳の活性化につながる

 話していたり動いたりした後、ふと、「あれ、今何をしようとしていたんだっけ?」と思ったことが、誰にでもあるのではないでしょうか。なぜ、急に思い出せなくなるのか--。それは脳の記憶と深い関わりがあります。

 そもそも、脳の記憶には、「短期記憶」と「長期記憶」があります。記憶をつかさどることで有名な「海馬」という部位は、短期記憶を処理する部分になります。海馬のなかで短期記憶が整理され、重要な情報と判断されると、「大脳新皮質」に移行して長期記憶として定着します。

 つまり、ささいな出来事であっても、長く記憶したい出来事であっても、ひとまず情報は海馬で処理されるようにできているわけです。「あれ、今何をしようとしていたんだっけ?」となってしまう原因は、短期記憶に関わる問題ですが、長期記憶も短期記憶も海馬の働きがポイントになるため、いかに脳に酸素をしっかりと送ることができるか。効率よく脳を働かせるには、脳の血流をよくすることが重要です。

 脳の燃料である酸素は、血液に乗って運ばれますから、少し息が上がる程度の、心拍数が120/分を超えるような中強度の負荷がかかる運動を定期的に取り入れるといいでしょう。全身に血液をめぐらせるような、たとえば少し速めのジョギングや縄跳び、階段の昇降などの運動を10~20分程度行うと◎。中でも、私がおすすめしたいのが縄跳びです。

 縄跳びは、脳に酸素を送り込むだけではなく、脂肪燃焼効果が高く、短期間で体脂肪を落とす効果があります。また、肺や血管に適度な負担をかけることで、酸素を取り込んだり運搬したりする能力の増強、さらには、全身に適度な負担がかかるため、毛細血管が発達して酸素を運搬する能力が向上し、持久力の強化も期待できます。ダイエット効果や持久力の向上にも役立つというわけです。ボクサーが、縄跳びをトレーニングに取り入れるのは、まさしく体重を落とし、持久力が育まれるからです。

 縄跳びは縄さえあれば、どこでもできますから、まずは1分間に60回くらいを目安にして、3分間続けて跳んでみるといいでしょう。少し休憩して、3セット行えば、先述した10分の運動という条件を満たします。

 また、脳の活性化を促す意外なアクションとして、「水を飲む」が挙げられます。

 イースト・ロンドン大学とウェストミンスター大学の研究者らが行った実験(2013年)によると、知的作業に集中する前に約500ミリリットルの水を飲んでおくと、飲まずに作業を行った場合に比べて脳が活性化する結果が分かったといいます。

 何げないアクションだと思われるでしょうが、実は水を飲むことはとても効果的なのです。甘い飲み物やコーヒーなどを飲んでリフレッシュしたい方は多いと思いますが、水を飲むことを習慣付けておくと健康面はもちろん、脳の活性化の一助にもなる。

 集中して仕事をしたいときは、息が上がるような10分程度の運動を行い、水で水分補給。たった10分程度ですから、ぜひ取り入れてみてください。


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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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