時間栄養学と旬の食材

【ナメコ】「ぬめり」が腸内細菌を元気にして免疫力アップ

味噌など乳酸菌の多い食材と合わせると効果的
味噌など乳酸菌の多い食材と合わせると効果的

 特徴的な外観とぬめりから「滑らっ子(ヌメラッコ)」が転じて名付けられたナメコは馴染みの深い食材です。でも、じつは食用として広く利用されているのは主に日本というから驚きです。

 天然のナメコが最も多く出回る時期は10~11月中旬。昭和の初期までは天然が多かったものの、戦後から現在にかけて販売しているナメコのほとんどが菌床栽培されているそうです。だからこそ一年中、手に入れることができるんですね。

 そんなナメコには一体、どのような栄養素が含まれているのでしょうか。まずはコレステロール値を下げる可能性のあるペクチンです。ナメコのヌルヌルの正体で、体内で胆汁酸やコレステロール値を低下させ、動脈硬化や高血圧の予防に役立つ可能性があります。

 ラットの実験にはなりますが、高脂肪食を与えると同時にナメコに含まれるぬめり成分(多糖類)を与えたところ、動脈硬化の原因のひとつにもなる過酸化脂質の増加を抑えることが報告されています。

 また、腸内環境を整える働きも期待できる機能性が高い栄養素です。ぬめりを取り除いた実験では、機能性効果が認められなくなることが確認されているそうです。調理する際はぬめりまで食べ切れるような汁物や和物がいいでしょう。

 ペクチンは水溶性食物繊維と呼ばれる、水に溶けやすい食物繊維の仲間です。水溶性食物繊維は朝の方が腸内にいる善玉菌のエサとなりやすいこともわかっています。

 その他にも、ナメコに含まれる水溶性食物繊維のひとつ、β-グルカンは免疫力を増強し、がんの増殖を抑制する作用があります。マウスの実験でがん細胞の増殖阻害率はナメコは86.5%といわれます。この阻害率は同様の実験で調べたキノコの中で、メシマコブ、マツタケの次に高い値だったと報告されています。

 また、腸管免疫が活性化することもわかっているのですが、なんと! 乳酸菌を合わせるとさらに免疫力がアップするというデータが! 乳酸菌の多い食材に味噌や漬物が挙げられます。このことからも、朝ごはんのナメコ汁は理想的だったと言えますね。

 一晩、ヒタヒタの水につけて冷蔵庫で寝かせた後に調理をすると、ナメコのぬめりがアップするので保存方法としてもおすすめですよ!

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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