空腹感は食欲の一部といわれますが、さほどお腹がへっていないときでも感じてしまうから不思議な存在です。先ほどご飯を食べたのに、甘い匂いを嗅ぐと急にお腹がすいてしまうように、脳と体の反応が一致しないことも珍しくありません。
私たちはお腹がすいていないときでも食事をしたり(お菓子を食べるなどもそうですよね)、逆にお腹がすいているのにダイエットのために食事を抜いたりします。匂いや音、広告など、私たちの環境に潜んでいる食物の誘発物質が、過食の主な原因のひとつであるともいわれているほどです。食欲と上手に付き合えるかどうかは、現代人にとって欠かすことのできないセルフコントロール術でしょう。
カーネギーメロン大学のモアウェッジらのチームは、「想像するだけで、ある程度食欲を抑えることができる」という研究(2010年)を公表しています。この実験では、51人の被験者を次の3つのグループに分けました。
①「チョコレートを3個食べる」&「コインランドリーの洗濯機にコインを30枚投入する」場面を想像するグループ
②「チョコレートを30個食べる」&「コインランドリーの洗濯機にコインを3枚投入する」場面を想像するグループ
③(食べる想像はなしで)「コインランドリーの洗濯機にコインを33枚投入する」場面を想像するグループ
その後、被験者全員にチョコレートが入ったお皿を配り、好きなだけ食べていいと指示をしました。すると、チョコレートを30個食べるシーンを想像した②グループの被験者は、チョコレートを3個食べる想像をした①グループや、まったく食べる想像をしなかった③グループの被験者に比べ、実際にチョコレートを食べる量が少ない結果になったといいます。
つまり、自分が何かを食べている姿を脳内で再生する「脳内食事」をすることで、食べる量を抑えられることが分かったのです。体重を気にしているなら、仕事やプライベートの会食前に、自分が食べる姿と、食べたことによって自分がどんな姿になっているかを想像するといいでしょう。
また、「自宅で食べるより外食のほうが太る」「1人より複数人で食べると食事量が増える」という研究もあります。ダイエットをするなら、できるだけ自炊して1人で食べた方がいい。一方で、毎日1人で食事をすると、精神的な面でふさぎ込んでしまう可能性があるため、あくまで太ってきた際のコントロール法として覚えておいてください。
脳は新しい刺激を求めます。そのため、繰り返し同じものばかりを食べるよりも、適度に新しいものを食べた方が好ましい。コロナ禍によって、テイクアウト可能なお店が増えましたから、生活に変化を加えるという点から、テイクアウトを取り入れるのは効果的です。
また、お店で食べると、つい「もう1品食べたい」となってしまうことがありますが、帰宅してしまえば追加オーダーはできません。自分でコントロールしやすいこともテイクアウトの利点でしょう。
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