頭寒足熱という言葉があります。辞書には「頭部が冷えて足部が温かいこと。古来、健康によい状態といわれる」(「日本国語大辞典」)などとあります。
実はこの頭寒足熱とほぼ同じ意味である「寒頭煖足」という言葉が、およそ2200年前の中国の古墳から発見された東洋医学の書に記されています。
東洋医学では太古、理想的な体の状況を思想体系化してきましたが、その根本的な考え方に陰陽があります。これは複雑に関係し合う森羅万象をより深く認識把握しやすくするために2分類した考え方です。
例えば明暗、昼夜、そして寒熱に上下に前後など……。
ちなみに「陰」は暗い、寒冷的、下降的、内向的、静的な傾向を持ち、「陽」は明るく、温熱的、上昇的、外向的、動的な傾向を持つとされます。この考え方をもって自然界を見たとき、さまざまな事象を説明することができ、中でも人体にあてはめると、大いに理にかなっていることに驚かされます。
例えば健康な体は、熱と冷えを循環分布させ、バランス良く整える力があるため、熱や冷えの偏りは起きづらくなります。ですがそれがいったん不調になると、熱は上に偏り頭がのぼせ、冷えは下に偏り足が冷えやすい状況、いわゆる冷えやのぼせとなるわけです。
東洋医学を正しく知って不調改善
東洋医学における「冷え」「のぼせ」改善のセルフケアは?
寒熱の循環やバランスを整える腹式呼吸も効果的
そんな陰陽の考え方に基づいた冷え・のぼせの改善および、なりにくい体をつくるセルフケアをご紹介します。
まずは頭部の熱を下に下げる障害となる、肩のこり改善のつぼです。うなじ付近のくぼみである「風池」、両肩中央にある「肩井」、肩甲骨の内側にある「膏肓」などを気持ちよい程度に指圧してみてください。
次に足を温め、体上部の熱を体下部に下げるつぼとして、両膝にある「足三里」、内くるぶしから指4本分上がった「三陰交」を。市販の台座灸を行うのもよいでしょう。
体の上部の熱を下部に下げ、さらに寒熱の循環やバランスを整える力を強める働きのある腹式呼吸も効果的です。