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【フェヌグリーク・メティ】滋養強壮や栄養補給で授乳期女性に人気

フェヌグリーク・メティ
フェヌグリーク・メティ(提供写真)

 フェヌグリークは、中東やアフリカ、インドで栽培され、古くから愛用されてきたハーブのひとつです。煎ったフェヌグリークの実(メティシード)を粉末にしたものは、カレーのスパイスとしても広く使われています。また、スープなどの風味付けとしても重宝され、豆料理やシーフード料理にも利用されます。

 フェヌグリークは「出世香辛料」とも呼ばれる珍しいハーブで、種の段階では「フェヌグリーク」や「メッチ」、緑の葉が「メティ」、乾燥させた葉が「カスリメティ」と呼ばれています。

 江戸中期に長崎を中心に起こった蘭学ブームに伴い、薬草「胡櫨巴(コロハ)」として持ち込まれたものの、農作物として定着することはなく、現在は種や葉を乾燥させたものが香辛料として輸入されています。生野菜はこれまで国内で流通していませんでしたが、近年はシャキシャキとした食感でほろ苦い味が特徴のメティの国内生産が盛んになってきているとのことです。

 フェヌグリークは古くから民間薬として利用され、滋養強壮、栄養補給、食欲増進、解熱剤としての効果があるとされています。特に催乳作用があると考えられ、授乳期の女性が摂取する習慣があるそうです。まだまだ研究段階でメカニズムに関しては今後に期待したいですが、ダイエット効果にも有効な可能性があると、その栄養価の高さに最近注目が集まっています。

 フェヌグリークに含まれる栄養素で特化しているのは豊富な食物繊維です。朝食でフェヌグリークの食物繊維8グラムを摂取した肥満の被験者8人は、摂取しなかった被験者よりも満腹感を強く感じ、昼食のドカ食いを防ぐことができたことがわかっています。

 12人の男性に対し1日1.2グラムのフェヌグリーク種子抽出物を2週間摂取してもらった実験では、脂質摂取が減少し、全体のカロリー摂取が12%減少したという報告があります。

 また、別の研究ではフェヌグリーク茶が食欲を減退させる報告も。さらに、コレステロール値を下げ、血糖値を調節し、便秘のリスクを減らす効果もわかっているのです。男性の更年期障害の指標を示すAMSスコアも、フェヌグリーク加工食品を4週間摂取した場合で改善傾向が見られる報告がありました。

 調味料としてだけでなく、お茶や水につけておくことでフェヌグリーク水を作ることもできますよ!

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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