「意外な死因」2022年最新版…死亡した156万9050人を調査

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 お正月は心静かにわが身を振り返り、将来を考える時間でもある。人によっては残りの人生を思い浮かべ、自身の最期を考える人もいるだろう。限りある生を使い果たして悔いなく旅立ちたい。しかし、亡くなった人のなかには、心がけ次第では予防できそうな、ちょっぴり残念な「死因」で最後を迎える人もいる。今後の振る舞いを考えるうえで、死因は大いに参考になる。そこで昨年発表された最新の政府統計から2022年に亡くなった156万9050人の死因を調べてみた

■太り過ぎ

 肥満は、心臓病、脳梗塞、がん、関節症などに関係し、健康に重大な影響を与える。

 日本では2022年に「肥満症」が死因となった人は90人(男性46人、女性44人)。このうち肥満による低酸素死は36人(男性13人、女性23人)だった。2017年は81人(男性33人、女性48人)、2012年は73人(男性25人、女性48人)だったことからも、日本でも肥満症が着実に増えていることがわかる。

 一般的には2型糖尿病は肥満が高じて発症するイメージがある。つまり肥満症が死因ということは2型糖尿病で亡くなる前に太りすぎ(過栄養)で死亡したとも解釈できる。

 2022年に「糖尿病」が死因だった人は1万5927人(男性8990人、女性6937人)。内訳はインスリンが出ない1型349人(男性160人、女性189人)、過食などが原因の2型3159人(男性1689人、女性1470人)、1型か2型かわからない糖尿病が1万2391人(男性7125人、女性5266人)。その他の糖尿病27人(男性15人、女性12人)だった。

 世界保健機構(WHO)によると、肥満患者数は2018年から2倍以上に増えていて、肥満もしくは過体重による死因は世界で上位5番目だという。

 ちなみに、WHOは体重(㎏)を身長(m)の2乗で割って算出する「体格指数(BMI)」が25以上を過体重、30以上を肥満症と定義している。比較的、肥満が少ないとされる日本では25以上を肥満症としている。

■お酒の飲みすぎ

 健康志向で“酒飲み”が減っているいまの時代に、「飲みすぎで亡くなる人なんて多くはないだろう」と思いがちだ。しかし、長年の飲酒が原因で亡くなる人は少なくない。

 最も多いのはお酒が原因の肝臓の病気で、アルコール性肝疾患6296人(男性5437人、女性859人)。これは肝臓の病気1万8896人(男性1万2431人、女性6465人)の33%にあたる。ほかに、アルコール性急性膵炎35人(男性32人、女性3人)、アルコール性慢性膵炎31人(男性28人、女性3人)がある。また、554人(男性501人、女性53人)がお酒による行動や精神障害で亡くなっている。このうち369人(男性331人、女性38人)が依存症だった。

■自宅で凍死

 山で遭難したのならわかるが、家で凍死なんてあるわけがない。そう思っている人も多いだろうが間違いだ。

 凍死は死因分類上「自然の過度の低温への曝露」となり、2022年は1450人(男性845人、女性605人)で、このうち家や庭での死は613件もあった。一方、熱中症による死亡にあたる「自然の過度の高温への曝露」は1477人(男性881人、女性596人)だった。

■餓死

 飽食の時代と呼ばれる現代において信じられない話だが、死因が「食糧の不足」が15人(男性12人、女性3人)いた。年齢別では、45~49歳1人(男性)、55~59歳2人(男性)、60~64歳2人(男性1人、女性1人)、65~69歳3人(男性2人、女性1人)、70~74歳3人(男性)、75~79歳2人(男性1人、女性1人)、80~84歳1人(男性)、85~89歳1人(女性)となっていいる。 なお、「水不足」が死因のケースは90~94歳の男性1人の記録がある。

■氷や雪による転倒死

 転倒・転落・墜落による死亡は1万1569人。うちスリップ・つまずき、よろめきによるものは9687人(男性4514人、女性5173人)、氷や雪による転倒は9人(男性8人、女性1人)。他人との衝突又は他人に押されるなどしたことによる転倒は3人(男性)。ベッドからの転落81人(男性49人、女性32人)、階段やステップからの転落転倒は593人(男性401人、女性192人)となっている。

 驚くのは「はしごからの転落又はその上での転倒」により死亡した197人(男性185人、女性12人)の年齢だ。1人を除いてすべて40歳以上。うち70歳以上が149人で、女性は10人だった。

■梅毒

 近年、20代の女性を中心に全国的に流行している梅毒だが、2022年は晩期梅毒で10人(男性8人、女性2人)が亡くなった。70~74歳が4人(男性)、65~69歳2人(男性)、75~79歳2人(男性1人、女性1人)、80~84歳1人(男性)、85~89歳1人(女性)だった。ちなみに母子感染による先天梅毒は0歳の女子1人が記録されている。

■孤独死

 できれば、家族に看取られながら旅立ちたい。多くの人はそう思うだろうが、現実は厳しい。立ち合い者のいない死亡、つまり「孤独死」として記録された人は4231人(男性3314人、女性917人)。年齢別で見ると最も多いのは70~74歳の881人(男性734人、女性144人)。次いで75~79歳の609人(男性458人、女性151人)、65~69歳の581人(男性503人、女性78人)だった。 孤独死は圧倒的に男性が多い。女性は男性よりコミュニケーションに長けていて、家族がいなくても居住地でのネットワークを築いている人が多いことが要因かもしれない。

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