白内障手術失敗体験談(4)搬送直前に1万3520円を請求された

写真はイメージ(C)iStock
写真はイメージ(C)iStock

 白内障手術の失敗のリカバリーのため大手総合病院へ緊急搬送された私の右目はどのようなことになっていたのか。水晶体はカメラのレンズの役目があります。水晶体が失われることによってピント調整ができず、目の前にすりガラスを置かれたような状況で、なおかつ視野全体に黒いゴミのようにものが散らばっている。そんな悲惨な状況に陥ってしまったのです。

 眼科医院で、これ以上の手術続行は「うちでは無理」と判断されたのも当然です。結論から言うとこの判断は間違っておらず、搬送先の大きな総合病院でリカバリーの手術を受けることでダメージを最小限に抑え込むことができたのです。とはいえ、このときは自分の身の上に起きた不幸を嘆くしかありません。

 驚いたのは手術を中断した眼科医院のその後の対応です。右目にガーゼをあてられ待合室で待っていると、受付の女性から「こちらが今日の請求です」と治療費を請求されました。手術代を含む1万3520円。前期高齢者の私は医療費の2割負担ということでこの金額でした。手術途中で放り出されたうえに、いまこのタイミングで治療費を請求するとは……。釈然としないまま支払いました。とにかくいまは右目のトラブルをなんとかしないと……。

 救急車までは期待しませんが、せめて医院の車で移送してくれるものと思ったのですが、医院の対応はそっけないもので「いまタクシーを呼んだのでそれで行ってくれ」という。ただ、そのタクシーがなかなか来ません。10分か15分か待たされ、ようやく到着です。すぐにそのタクシーに乗って、指示された総合病院へまっしぐら。さすがにタクシー料金は眼科医院が支払ったようで請求はありませんでした。

 車内では、前妻に「じつは手術がうまくいかず、いまタクシーで大手総合病院に向かっているので、そちらに来てくれるよう」に連絡を入れました。

 手術失敗から3カ月ほど経過して、この体験談を書くにあたり手術に失敗した眼科医院の院長を訪ねました。「手術がうまくいかなかったのに医療費を請求するのはいかがなものか?」と問いただすと、「所属学会から請求してもいいと聞いている」との返答でした。

 2日後、再び連絡があり、「所属学会に確かめたが『やっぱり医療費を請求してください』ということだった」とのお話でした。 (つづく)

関連記事