気温20度の予想も…急激な寒暖差は命に関わる重大病の引き金になる

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 3連休明けの13日からは全国的に気温が大きく上昇している。都心は2月に入って気温が低い日が続いていたが、15日には20度まで上がると予想されている。だが、厳しい寒さも一段落かとホッとしてはいけない。夜になると冷え込んだり、急に寒さがぶり返す日もまだまだ多い。そうした大幅な寒暖差が命にかかわる病気を引き起こす原因になるからだ。

 われわれは、生命を維持するために気温が高い時は放熱し、低い時は加熱と保温を行って体温を一定に保っている。暑くなると血管を広げて血流を増やし熱を逃がし、寒くなると血管を収縮させて血流を減らし熱を逃がさないようにする。これにより、気温が高くなると血圧は下がり、低くなると血圧が上がる。この血圧の上下動が急激に起こると、血管や心臓に大きな負担がかかる。そのため、激しい寒暖差によって、急性心筋梗塞、不安定狭心症、心不全、大動脈解離、危険な不整脈といった重篤な心臓血管病が発症しやすくなる。

 東邦大学医学部名誉教授で循環器専門医の東丸貴信氏が言う。

「前日に比べて気温が5度以上、上下動する日は要注意です。欧州心臓病学会などは、最低気温が10度低下すると心筋梗塞の発症が7%増加、平均気温が10度低下すると10%増加すると報告しています。暖かい日が2、3日続くと、副交感神経が活性化して体がその環境に慣れてきます。そんな状態から一気に5度以上も気温が下がると、血圧が急激に上昇して心拍数が増加するとともに、血液が固まりやすくなります。そして、急性心筋梗塞や脳卒中などの心臓血管病で突然死するリスクが高まるのです」

 厚労省の統計でも、心臓疾患による死亡数が最も多いのは1~3月にかけてである。急激な寒暖差には、しっかり対策を講じたい。

「暖かい日が続いたとしても気を緩めないことが大切です。急に寒くなっても、ずっと薄着で過ごしたり、暖房を切ったままにしないようにしましょう。ヒートショックを防ぐためには、入浴前に浴室や脱衣所を暖めたり、熱い湯船につかったときはゆっくり時間をかけて出るといった対策も続けたほうがいい」

 寒暖差にしっかり注意を払いながら春を待ちたい。

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