役に立つオモシロ医学論文

ダイエットにはキムチが効果的? 韓国の研究チームが学術誌で報告

適量の摂取が大事
適量の摂取が大事

 韓国料理に欠かせないキムチは、白菜や大根、キュウリなどの野菜を主原材料として、粉唐辛子、ニンニク、魚介類の塩辛、果実のスライスなどを加え、冷暗所などで発酵させて作る、発酵食品のひとつです。

 キムチには、食物繊維やビタミン、ポリフェノール類などの栄養素が豊富に含まれており、2006年には米国の「ヘルスマガジン誌」において、世界5大健康食品の1つに選定されています。実際、キムチを摂取することで、血液中のコレステロールが低下したり、体脂肪が減少する可能性も報告されていました。

 そんな中、キムチの摂取量と肥満症の関連性を検討した研究論文が、英国医師会誌のオープンアクセスジャーナルに2024年1月31日付で掲載されました。

 韓国で行われたこの研究では40~69歳の11万5726人が対象となりました。

 研究参加者はアンケート調査の結果に基づき、1日のキムチの摂取量が、1食未満、1~2食、2~3食、3~5食、5食以上の各集団に分類されました。また、体格指数(BMI)が25以上を肥満と定義し、各集団に占める肥満の割合との関連性が解析されています。

 解析の結果、男性における肥満の割合は、キムチの摂取量が1日1食未満の集団と比べて、1日1~2食の集団で12.5%、2~3食の人で10.7%、統計学的にも有意に少ないことが示されました。

 ただし、1日3食以上の集団では肥満の減少は示されませんでした。また、女性においては、キムチの摂取と肥満の割合に統計学的に有意な関連性は示されませんでした。

 論文著者らは、「キムチの摂取量が1日1~3食であることは、男性において肥満が少ないことと関連しているが、それ以上摂取しても肥満は減少せず、適量の摂取が推奨される」と考察しています。

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

関連記事