感染力は“最強”…世界的流行の「はしか」52歳以上は要注意! 国内でも報告相次ぐ

はしかの感染力はインフルの9倍。空気感染も
はしかの感染力はインフルの9倍。空気感染も(C)日刊ゲンダイ

 世界で流行している、はしか(麻疹)の感染報告が、日本国内でも相次いでいる。今年に入り、すでに13人の感染が確認され、東京都や厚労省が、ワクチン接種による予防を呼び掛けている状況だ。

 世界保健機関(WHO)は先月20日、世界の半数以上の国々が流行リスクに直面しており、緊急に予防対策を講じるよう警告している。

 日本は2015年、国内からはしかを排除したと国際機関から認定されたが、アフターコロナによって海外との行き来が活発になったこともあり、流行が懸念されている。

 京都市内に住む30代の男性は発症前、関西空港を訪れていた。また、都内在住の5歳未満の男児は、感染経路は明らかになっていないが、先月下旬、南アジアから帰国したという。

 はしかの最大の特徴は、感染力が非常に強いことだ。インフルエンザの約9倍である。感染が確認されている13人のうち8人は、アラブ首長国連邦(UAE)を出発した同じ飛行機に乗っていた。空気感染するため、マスクや手洗いでは防げず、飛行機や新幹線など密閉された空間に居合わせると、感染するリスクはかなり高くなるという。

 医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏(内科医)はこう言う。

「はしかの潜伏期間は10~12日間。症状は人によってさまざまですが、教科書的に言うと、初期症状は発熱や咳、倦怠感、鼻水など風邪と同じです。いったん熱が下がった後、再び症状が強まり、40度近い熱が出たり、口のなかに白い斑点が出たり、体に赤い発疹が現れたりします。多くは1週間ほどで治り、過度に心配する病気ではありませんが、後遺症の心配もあり、ワクチン接種を勧めます。怖いのは合併症です。1000人に1人の割合で脳炎にかかり、死亡する割合も1000人に1人です。10年後に脳に障害が出るケースもあります」

■唯一の予防法はワクチン接種

 はしかは、春から夏にかけて流行することが多い。それだけに、この時期にこれだけの患者が発生すると、5月以降、さらに感染者数が増加する恐れがある。

 感染力が強いはしかの唯一の予防法は、ワクチン接種だ。2回接種すれば、免疫獲得率が97~99%以上となり、ほぼ感染を防げる。1回の接種だけでも免疫獲得率は93~95%に達するが、30年ほどで免疫は低下してしまうという。

 要注意なのは、今年52歳以上になる人だ。1972年9月30日以前に生まれた人は、ワクチンを1回も接種していない可能性が高いからだ。

 世代によってワクチンの接種回数に違いがあり、①1972年9月30日以前生まれは、接種ゼロの可能性が高く②1972年10月1日~1990年4月1日生まれは、1回のみ接種③1990年4月2日~2000年4月1日生まれは、1回か2回④2000年4月2日以降生まれは、2回接種の可能性が高い。

「過去に自然感染しているのか、ワクチンを2回接種したのかどうか不安な人は、抗体検査をして免疫の有無を確認すればいいでしょう。1回接種で十分な免疫を獲得する人もいますし、2回接種しても免疫力が不十分な人もいます。ワクチンを打っていれば、たとえ感染したとしても症状は軽くてすみます。自費の場合、抗体検査は5000~1万円ほど、ワクチン接種は1回あたり1万円前後です」(上昌広氏)

 すでに世界的に流行しているだけに、心配な人は早めに備えておいたほうがよさそうだ。

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