やけどの正しい治し方(4)残った傷痕をいかに改善できるか

やけどをしたら早めに医療機関を受診すること
やけどをしたら早めに医療機関を受診すること

 やけどを負ったとき、誰もが気になるのは「傷痕が残るのかどうか」だろう。同じように見える小さなやけどなのに、痕が残ったこともあれば、きれいに消えたこともある、という人もいるはずだ。やけどの痕が残るか残らないかはどこに違いがあるのか。

 やけどの専門家でもある「身原皮ふ科・形成外科クリニック」(広島市)の身原京美院長は言う。

「まず前提として、熱傷の深度は熱源の温度と接触時間によって決まります。それらによって皮膚がどこまで損傷を受けたか、ほぼ受傷時に決まるわけです。そして、たとえばⅠ度熱傷なら傷痕は残らない、Ⅱ度なら残る場合と残らない場合がある、Ⅲ度なら残る、ということも決まっています。ですから、傷痕が残るかどうかというのも、受傷した時点でほぼ決まっているということになります。その上で、それをいかに浅めに改善できるか、というのが治療になります。ただし、痕が残るほどの深いやけどを、痕が残らないように治すということは基本的にはできません」

 やけどが治った後、皮膚に残る色と傷痕はまったくの別物だ。「炎症後紅斑」や「炎症後色素沈着」と呼ばれる赤みや茶色は基本的には治るが部位によって消えるまでの時間が違う。傷痕は瘢痕(はんこん)組織、いわゆるケロイドと呼ばれる組織によってのみ修復されるため、消えることはない。

 できる限りやけどの傷痕を改善させるためにも、やけどをしたら早めに医療機関を受診したほうがいい。

「やけどをした時、一番やってはいけないことは、いろいろな自己処置を行った挙げ句に状態を悪化させることです。治らないものを無理やり自分で処置して、感染させて……。特に手の指では、『拘縮(こうしゅく)』といって指が伸びなくなったり、動かなくなったりする機能障害を起こすケースもあります。治療で深度を浅くすることはできませんが、不適切な処置によって深くすることはいくらでもできるんです。ですから、ちょっとマズいかもと思ったら、すぐに医療機関、できればやけどに慣れている医師に診てもらったほうがいいでしょう」

 やはり、自己判断でやけどした患部を覆う「ラップ療法」はやめておきたい。(おわり)

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