濃いルーほど効く カレーとアルツハイマーの深~い関係

東京有明医療大学の川嶋朗教授/(C)日刊ゲンダイ
東京有明医療大学の川嶋朗教授/(C)日刊ゲンダイ

 国際アルツハイマー病協会によると、全世界の認知症患者は推計6570万人。2050年には1億5000万人を突破するという。自分がボケてしまったら家族に大迷惑だが、東京有明医療大学の川嶋朗教授(57)は「カレーを食べるとボケない」と断言する。

 川嶋教授は「ボケたくなければカレーを食べなさい」を上梓したばかり。ズバリ、カレーはアルツハイマー病予防に効果があるのか?

「カレーを食べればボケません。少なくとも、ボケの進行を抑えることはできそうです。そもそもカレーが注目されたのは、インド人のアルツハイマー病の有病率の低さです。米ピッツバーグ大学の研究チームがインドと米ペンシルベニア州に住む高齢者(70~79歳)の有病率を調べたところ、インド人は米国人の4・4分の1しかなかったのです」

 カレーには辛口や甘口がある。スパイシーな辛口の方が効き目がありそうだが……。

「辛口だろうが甘口だろうが関係ありません。ポークカレーやビーフカレーの違いもない。アルツハイマー病に効果があるとされるのは、カレーを黄色くするウコン。そこに含まれるクルクミンなのです。ただ、ウコンには大きく分けて、秋ウコン(ターメリック)、春ウコン(キョウオウ)、紫ウコン(ガジュツ)があります。クルクミンの含有量が多いのは秋ウコンで、春ウコンは少ない。市販のカレールーを買うなら、成分表にターメリックと書かれたものを選ぶといいでしょう」

■生ウコンより乾燥ウコン

 愛媛県産業技術研究所の調査では、100グラム中のクルクミン含有量は、秋ウコン160ミリグラム、春ウコン20ミリグラム、紫ウコン0ミリグラムだった。意外なことに、生のウコンより乾燥させたウコンの方が含有量が多くなり、乾燥粉末の秋ウコンなら500ミリにも達する。秋ウコンは包丁で切ると、人参のように赤みがかっているのが特徴。一方、春ウコンは白い。カレーを選ぶ際は、辛い・甘いではなく、色の濃いルーを選ぶべきだ。

 では、どれくらいの頻度で食べるべきか?

「同じ食品を毎日食べることは、アレルギーを誘発したり、同じ添加物を重ねて体に入れることにもなります。まあ、週に2、3回も食べればいいでしょうが、問題がなければ毎日食べてもいい。カレーには、蕃椒(唐辛子)、丁香(グローブ)、大蒜(ガーリック)、陳皮(ミカンの皮)など漢方として扱われる素材が豊富。カレー以上の栄養食はありません」

 日本のアルツハイマー患者は約116万人(厚労省=2010年)で、人口比ではアメリカの半分程度。さすがはカレーが“ニッポンの国民食”と呼ばれることだけはある。目指すは1日3食、365日カレーのインド人だ。

「ターメリックを使っているなら、カレー南蛮、カレー肉ジャガなど何でもいい。私も貧乏学生時代(北大医学部)は、ずっとカレーでした。母親が段ボールに米とカレールーを詰めて送ってくるからです。カレーによるボケ予防の何がいいのかというと、毎日食べても飽きないこと。良薬でも続けられなければ意味がありません」

 夕食は、沖縄の「うっちん茶」(ウコン茶)を飲みながらカレーライスだ。

関連記事