末期がんからの生還者たち

S状結腸がん<3>「がんに効くという高価なサプリが100円ショップに」

岡田隆さん(提供写真)
岡田隆さん(提供写真)

 1999年10月から2001年9月のわずか2年間に「S状結腸がん」「肝臓に3カ所転移」「右肺に3センチ大の転移」の手術を経験した岡田隆さん(60歳=愛知県豊田市在住)。術後から今日までの20年間、がんとの壮絶な闘いを続けている。

「がんなどに負けてたまるかという心境と、ただ治療を医師に任せるだけではなく、がんを完治させるために患者自身も一緒になって向き合っていく気持ちも必要だと思いました」  

 ネット検索や多くのがん闘病記・関連の書籍を読み漁り、治療の合間を見て、米国がんセンターなど海外の医療機関にも足を運んだ。最新のがん情報を確認するためである。

 手術など「虎の門病院」(東京・港区)での最新治療以外に、統合療法やサプリメントも試した。

「AHCC」(雪国まいたけ)、「D―フラクション」(雪国まいたけ)、「万寿丹」(カネボウ)、「アガリクス」(アイ・エム・ビー)、「仙生露」(協和発酵)、「姫マツタケ」(岩出101株=岩出菌学研究所)、「カスピ海ヨーグルト」、「リブロン」(BST日清ファルマ代理店)、「玉川温泉」(湯治、岩盤浴=秋田県内)、「鍼灸」「太極拳」「瞑想」「ヨガ」「音楽」……と実に多岐だ。

 ただし担当医には、サプリメントの試用について黙っていた。事前に温泉治療の計画を話すと、反対はされなかったものの、「病気というのは、平らなベッドに寝て治すものです」との言葉を聞いたことがあったからだ。

■NHKラジオの「英語講座」が役立った

 先に羅列したサプリメント類については、体験者の話が多くの書籍になっていた。「効果があった!」「がんが治った!」などである。

 岡田さんは半信半疑ながらも、「わらにもすがる思い」で、セット10万円という高価なものも試してみた。あるいは、サプリに添えられた手紙の中に「処方より多く飲むといいです」と書かれていたことを素直に実行した。

 効果はどうだったのか。

「ある日、100円ショップに行くと、がんに効果があるといわれていたサプリメントが、1袋100円で売っていましたね」  

 それでも湯治、補助補完・統合療法、さらにがん患者との市民パネル、各種がんセミナーの参加、米国・がん協会の訪問は、肉体的だけでなく、精神面にも大きな支えになったという。 

 それともうひとつ、30回ほどにも及ぶ入退院を繰り返す中で、病室のベッドの上で、NHKラジオから流れる、基礎英語Iから、当時の「やさしいビジネス英語」まで、よく聴く機会に恵まれた。

 あらためて英会話の基礎英語から、ゆっくりと触れ合う。これが米国でのがん情報を収集する現場で、大きく生かされることになる。 

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