ストレスによる歯のトラブル

ストレスによる唾液の変化で歯の黄ばみやくすみに拍車が

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 新しい人間関係を築こうと笑顔を連発しても、汚い歯がのぞくようでは台無しだ。実は歯の汚れもストレスに関係する。

 自由診療歯科医師で八重洲歯科クリニック(東京・京橋)の木村陽介院長が言う。

「歯は内側に黄色みを帯びた『象牙質』があり、その上を白く半透明な『エナメル質』が覆っています。若い人の歯が白く明るく見えるのは、エナメル質が小さな隙間が多数ある燐灰石でできていて、そこで光が散乱するからです」

 ところが、年を取ると燐灰石の隙間が埋まり、光がエナメル質を通過。その奥にある黄色の象牙質の色が透けて見える。しかもエナメル質自体が薄くなり、紫外線の影響で象牙質のコラーゲンが変質してくすみが強くなる。これが年寄り特有の歯の黄ばみの正体だ。

「これに拍車をかけるのがステイン(着色汚れ)です。その原因は、歯の表面に飲食物やたばこなどに含まれる色素が付着すること。色素がつくと歯のツヤが失われ、歯がくすんで見えるのです」

 着色汚れは歯の表面に飲食物に含まれるタンニンなどのポリフェノールや、たばこのヤニなどが付着。唾液中のリン酸やカルシウムなどが結びついて歯に固着し、取り除きにくくなる。

「このとき、気をつけなければならないのは同時に取ると歯を着色しやすい食べ物の存在です。炭酸飲料やアルコール、スポーツドリンク、シュウ酸が豊富なホウレンソウなどは歯の表面のエナメル質を溶かして脱灰して、荒れた歯の表面をつくります。そこは着色汚れがつきやすいのです」

 ちなみに歯に着色しやすい飲み物の代表はタンニンが多く含まれるコーヒーや紅茶、ワイン、緑茶など。食べ物ではカレーやチョコレートなどだ。

 しかし、こうした着色汚れは固着するまでに数日かかるため、毎日正しい歯磨きをしていれば、防ぐことができる。

 問題はストレスがかかった場合だ。

「人はストレスがかかると唾液の分泌量が3割程度減ることが、多くの研究で確認されています。唾液量が減ると口腔内が乾いて、細菌が増殖しやすくなります。しかもストレスで唾液の質もサラサラからネバネバに変わります。そうすると口腔内の洗浄・殺菌作用が大きく低下して、細菌の増殖に拍車がかかり、歯の表面に色素汚れが付着しやすくなるのです」

 歯の汚れから身を守るには着色汚れの原因となる飲食物を意識し、飲食後に特に歯をまめに磨くことは当然。気になる人は唾液腺マッサージやよく噛んで食べるなど、唾液量を増やす努力を加えることだ。

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