半分以上の日本人は肥満と呼ぶような体格ではないというのが数字の示すところです。しかし、多くの日本人は自分が太っていると考えるのはなぜでしょうか。
これは気温の平均を例に考えてみると分かりやすいかもしれません。平均気温を基準にすれば、大部分の日は暑かったり寒かったりで、平均値ぴったりの日はほとんどありません。毎日、暑いか寒いかのどちらかという変なことになります。
さらに、平年並みという範囲で考えるとどうでしょう。
例えば3~5月の気温は、平均気温に対しマイナス0.1~プラス0.3度の間にあるときに平年並みの気温と発表されます。この範囲は全体を3等分して決められているため、全体の33.3%を占めるにすぎません。例年と同じような気温が続いていても、そもそも33.3%は平年より寒い、33.3%は平年より暑いというように、66%以上は平年並みでないと発表されます。平年並みの日よりも、平年より寒い日や暑い日のほうが、必ず倍くらい多くなるような基準になっているのです。
平年並みの範囲は、もう少し広くとったほうがいいような気がします。
肥満を考えるときもこれと似たような状況で、BMIの平均が23.8だと聞くと、24の人は平均より太っているんだ、などと考えやすいのではないでしょうか。平均値だけで見ると50%の人が肥満となってしまいます。そこを前回取り上げたように、平年並みの真ん中33.3%より少し広い真ん中50%の人が含まれる23.4~24.4を基準に考えれば、自分は真ん中あたりで肥満ではないと考えることができるわけです。
肥満かどうかの判断も実は考え方による面もあるのです。平均値や平年並みだけにとらわれることなく、柔軟に考える方法をまず身につけたいものです。
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