アメリカでは、薬の値段の高騰ぶりはもちろん、処方薬を買う時の待ち時間も頭痛の種になっています。
特にニューヨークでは、処方箋が病院から自動的にオンラインで薬局に送られるシステムがあるにもかかわらず、薬局には長蛇の列。薬の袋が紛失するなどのトラブルも起こっています。
そんな中、そうした問題を解決して新たなビジネスを創出しようと、スタートアップ企業による処方薬のデリバリーサービスへの参入が相次いでいます。
まずニューヨークでスタートした「カプセル」は、医師から送られた処方箋が2時間以内に自宅にデリバリーされ、薬が残り少なくなると知らせてくれるシステムです。
「ジップ・ドラッグ」も同様のサービスをニューヨークとお隣のニュージャージー州で提供。「ニュルクス」は、所属の産婦人科医の質問に答えるだけで避妊ピルを処方、デリバリーしてくれる仕組みで、18州で展開してます。
そして、こうしたスタートアップの中でも群を抜いて注目されているのが「ピルパック」です。すでにハワイを除く49州で提供されています。
特色は、数種類の処方薬が飲むべき日と曜日、時間が明記されたパックに1回分ずつ分包され、デリバリーされること。
特に高齢者など複数の薬を飲んでいたり、薬局まで行くのが大変な人には大きなメリットがあります。残りが少なくなると医師とコンタクトして、自動的に補給してくれるサービスもあります。
しかし最大の話題は、このピルパックが6月末に「アマゾン」に買収されたことです。アマゾンはすでに医療業界に参入しており、今回の買収はアメリカの医薬品とドラッグストア業界に挑戦状を叩きつけた形になります。これに対応するため、大手ドラッグストアチェーンが他のスタートアップ買収に動くのではという推測もされています。
一方、消費者にとっては、「競合が増えて薬の値段が下がるのでは」という期待にもつながっています。
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