本庶佑氏ノーベル賞で脚光 がん免疫薬オプジーボ5つの疑問

本庶佑氏のノーベル賞で一躍脚光を浴びる「オプジーボ」
本庶佑氏のノーベル賞で一躍脚光を浴びる「オプジーボ」(C)共同通信社

 京大の本庶佑特別教授(76)がノーベル医学生理学賞を受賞したことで、がん免疫薬「オプジーボ」がにわかに注目を浴びている。T細胞のPD―1と結合して免疫の働きにブレーキがかからないようにする原理で、森喜朗元首相が肺がん治療に使って体調が回復したことでも知られている。“夢の新薬”とはどんなものなのか……。

■いつからどんな人に使われている?

 オプジーボががん患者への使用が認められたのは2014年9月。最初は悪性黒色腫のみだったが、その後、肺がんにも適用されるようになった。今は胃、頭頚部、腎細胞など7種類のがん治療に使われている。発売元の小野薬品工業によると、これまでに全国で2万5000人が投薬を受けたという。
「患者さんの2~3割にがんが縮小した、あるいは大きくならなくなったという効果が表れています。そのうち縮小した人は30%以上です。血液がんのホジキンリンパ腫では7~8割の人に有効です」(同社広報部)
 がん難民コーディネーターの藤野邦夫氏は「個人差が大きく、残念ながら効かない人は10本打っても効きません」と言う。

■どれくらいの割合で投与する?

 以前は体重1キロ当たり2ミリグラムの投与を3週間に1回だったが、今は3ミリグラムを2週間に1回投与するようになった。これによって投与の量が2.25倍に増えた。1回当たり平均240ミリグラムを投与する。
「静脈に点滴され、準備などを含めて所要時間は1~1.5時間です」(藤野邦夫氏)

■副作用は?

 従来の抗がん剤は吐き気がし、毛髪が抜け落ち、白血球が減るなどの副作用があったが、オプジーボはこうした症状が出ない。間質性肺疾患や肝機能障害などの副作用が確認されているが、副作用が出るのは患者の1割だ。

■薬局で買える?

 オプジーボは病院に常駐、つまり入院患者しか投与を受けられない。投与されるのはがんのステージⅢB以上の患者だ。
「末期の患者さんで、数種類の抗がん剤を2度投与されて効果が出なかった人です」(藤野邦夫氏)

■価格はいくら?

 ひところ「オプジーボ治療は1年間に3500万円かかる」などと報じられた。発売当初、1瓶(100ミリグラム入り)の価格が73万円だったからだが、2度にわたる値下げを経て現在は27万8000円。さらに来月には17万4000円にプライスダウンする。ただ、健康保険に加入している患者は全額を払う必要はない。
「高額療養費制度によって、月額8万100円を超える分は保険から支払われます。患者さんはこの額に医療費の全額から26万7000円を差し引いた額の1%をプラスして払います。100万円かかった場合は8万7430円です」(厚労省保険局保険課)

 現在、小野薬品は50種類以上のがんでオプジーボの臨床試験を行っている。ほかのがん患者にも朗報がもたらされるかもしれない。

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