適度な運動が健康に良い影響をもたらすという研究報告は多々あります。しかし、どんな運動がより優れた健康増進効果をもたらすかについて、質の高い研究データは不足していました。そんな中、世界的にも有名な米国の総合病院「メイヨー・クリニック」が提供している医学誌の電子版に、運動の種類と健康への影響を検討した研究論文が2018年9月4日付で掲載されました。
この研究はデンマークのコペンハーゲンに在住している8577人を対象とした調査で、さまざまな種類のスポーツや身体活動と、死亡リスクの関連を比較検討したものです。なお、結果に影響を与えうる、年齢、性別、喫煙・飲酒状況、収入、教育水準などの因子で統計的に補正を行い解析をしています。
25年間の追跡調査の結果、座りがちな生活スタイルの人と比較して、テニスをしている人で9・7年、バドミントンをしている人で6・2年、サッカーをしている人で4・7年、サイクリングをしている人で3・7年、水泳をしている人で3・4年、ジョギングをしている人で3・2年、体操をしている人で3・1年、それぞれ、統計学的にも有意に平均余命の延長が示されました。
もちろん、スポーツに参加できる人は、身体的にも精神的にも健常者である可能性は高く、スポーツそのものが延命に寄与しているかどうかについて、この研究結果のみでは結論づけられません。ただ、ジョギングや体操のような一人で行うスポーツよりも、テニスやバドミントン、サッカーのような複数人で行うスポーツでより延命効果が得られているという結果は興味深いものです。
運動に加え、人や社会とのつながりも健康に影響する重要な要因である可能性があります。
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