医者も知らない医学の新常識

米で報告が 腕立て伏せで心筋梗塞や脳卒中のリスクが減る

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 腕立て伏せや腹筋などの筋力トレーニングは、動脈硬化による病気と関係があるのでしょうか?

 運動にもジョギングのような有酸素運動と、筋肉に強い負荷をかけるトレーニングの2種類があって、通常は健康に良いのは有酸素運動の方だと言われています。

 比較的長期の成績としては、実際にそうしたデータが多いのです。

 また、それまであまり運動をしていなかった高齢者が、いきなり筋力トレーニングや持久力を必要とするハードな運動をすると、かえって健康を害することも多いと報告されています。

 ただ、基礎体力という面では、健康の下支えとして筋肉の力は大切であることに間違いがありません。

 たとえば握力が強い人の方が、長生きで動脈硬化の病気も少なかった、というような報告もあります。

 今年の米国医師会関連の専門誌に、腕立て伏せがどれだけ出来るのかと、動脈硬化による病気との関係を検証した、面白い論文が掲載されています。

 アメリカで1000人を超える消防士を長期間調査したところ、腕立て伏せが40回以上出来る人は、10回も出来ない人と比較して、96%も心筋梗塞や脳卒中のリスクが低下していました。

 無理な運動は禁物ですが、若いうちに基礎体力をつけておくことは、やはり健康のためには重要であるようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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