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見逃されがちな動悸の原因 ホルター心電図をやってみる

心電図では、心臓の拍動の乱れをチェック
心電図では、心臓の拍動の乱れをチェック

 心臓が規則的に拍動しているときに、時々、ふいに不整脈が一拍入ることがあるでしょう。私も経験がありますが、とても気分が悪い。期外収縮といって、最も頻度の高い不整脈です。

 いつもは自覚しない心臓の拍動、逆に心臓が一瞬止まるような感覚。「ドキンとした」「脈が飛ぶ」「ドキドキする」……。患者さんの表現はさまざまです。多くの人は気持ち悪さを感じながらも、しばらくすると落ち着くため、様子を見ているうちに忘れ、それでも何度か続くのが不安で、受診されるのです。

 動悸の原因は、不整脈や高血圧、心臓弁膜症など心臓に関係があるケースがひとつ。まず医師はそこを疑って、脈を取り、血圧を測って、聴診器で心音を確認。それから心電図です。

 心電図では、心臓の拍動の乱れや波形をチェック。その場で結果が分かる心電図は、正式には標準12誘導心電図といいます。すぐ結果が分かるのはメリットですが、逆から見ると、そのときに不整脈などがなければ、見逃される恐れも。

 それで行われるのが、24時間の波形を記録するホルター心電図です。一日中の波形を調べることで、より精密に検査できるのです。朝起きたときはおかしいけど、診察時は何ともなくて……。そんな症状の原因を探ることができます。

 血液検査や甲状腺の検査、胸のX線検査なども大切。動悸は、貧血や甲状腺の病気、低血糖、呼吸器疾患などでも起こることがあります。これらの病気を調べるのが、血液検査など。心電図が正常で、血液検査も異常なしなら、精神的な影響でしょう。

 実は、ストレスによる動悸は最も多く、「疲れているせいかな」と放置されやすい。確かにほとんどはそうなのですが、疲れのほかに、血圧などの異常が重なっていることが少なくありません。それが、「疲労」という分かりやすい理由づけで納得してしまうと、本当の原因が放置され、「マズイかも」と思ったときには、手遅れになっていることがあるのです。

 放置する原因のひとつが12誘導心電図に異常がないことでしょう。本当に気になるときは、「精密検査をお願いします」と医師に伝え、せめてホルター心電図を受けるのが無難。万が一、心臓の異常では困りますから。
梅田悦生・赤坂山王クリニック院長

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