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二日酔いに鎮痛薬は効果があるのか?学術専門誌に研究論文

症状もさまざま…
症状もさまざま…

 二日酔いは、翌日のパフォーマンスにも大きく影響します。二日酔いに効くといわれるような薬は多々ありますが、その効果についてきちんと検証されたデータはこれまでほとんどありませんでした。

 そんな中、医療者向け情報サイト「日経メディカル」が行ったアンケート調査によれば、二日酔いを経験した医師の17%が鎮痛薬を使っていると回答していたそうです。鎮痛薬ですから頭痛には効果がありそうですが、二日酔いの典型的な症状である倦怠感や吐き気にも効果があるのでしょうか。アルコールに関する学術専門誌、その名も「Alcohol」誌の電子版に、二日酔いに対する鎮痛薬の効果を検討した研究論文が掲載されました。

 この研究では日本人医師150人(年齢中央値34歳、男性92%)が対象となっています。被験者は、二日酔い時に鎮痛薬(ロキソプロフェン)を服用するグループと、二日酔い時にプラセボ(薬効のない偽薬)を服用する群にランダムに振り分けられ、薬を服用してから3時間後の倦怠感、頭痛、吐き気の症状が比較されました。なお症状は軽症から重症まで0~100点で評価されています。

 その結果、倦怠感や吐き気に対する症状の緩和効果は、鎮痛薬とプラセボで明確な差を認めませんでした。他方で頭痛に関しては、鎮痛薬で25点改善したのに対して、プラセボでは10点の改善にとどまり、鎮痛薬で統計的にも有意に症状が改善することが示されました。

 ロキソプロフェンは市販でも購入できる鎮痛薬です。二日酔いの倦怠感や吐き気に対する効果はあまり期待できなさそうですが、頭痛の改善には有効といえそうです。

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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