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「痔主」にならないための心がけ 最も大事なことはなに?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ある肛門科医によれば最近、受診者が増えているという。コロナ禍で通院を控えていた患者とは別に新しい患者が多いそうだ。

 症状はさまざまだが、もっとも多いのが痔核、いわゆるイボ痔。痔の治療薬「不思議膏」で有名なヒサヤ大黒堂の調査によれば、痔疾を訴える人のうち半数以上の53・4%がイボ痔。以下、脱肛31・8%、切れ痔17・9%、痔ろう9・6%、不明8・7%とつづく(同社HPから)。

 また厚労省の平成29年の「患者調査」によれば、イボ痔だけで推計1万1700人の患者がいるとされるから、ほかの痔疾の患者、さらに部位が部位だけに診療をためらう潜在的疾病者を含めるとかなりの数に上ると推定される。

 予防策としては「排便時にイキまない」「排便後は肛門周辺をきれいに洗う」「毎日入浴」「便秘、下痢を避ける」「腰を冷やさない」「酒、刺激物を避ける」などがあるが、忘れてならないのが「長時間同じ姿勢でいない」だ。

 座ったまま、立ったままなど同じ姿勢でいると、肛門がうっ血状態になり、痔疾の発症、痔疾の進行の原因となる。つまり痔疾を回避するためには、肛門周辺の血流を促すことが重要だ。

 作家の浅田次郎氏は自ら「痔主」を公言しておられる。それもイボ痔と切れ痔の両方に悩まされておられるとか。エッセー集「アイム・ファイン」(集英社文庫)では、通常、日の出前の早朝から7時間執筆、その後5時間読書という、まさに痔と闘いながらの「同じ姿勢で長時間」の日々をつづっておられる。

 それにしても、「痔主」の方にはおわかりだろうが、痛みと不快感に耐えながら、数々の感動大作はじめ、多くの名作を物する作家の集中力に驚くばかりだ。

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