時間栄養学と旬の食材

【ウナギ】本当の旬は秋冬だが…夏に必要な栄養素がたっぷり

ウナギ=夏というイメージだが
ウナギ=夏というイメージだが(C)日刊ゲンダイ

 土用の丑(うし)の日にウナギを食べてスタミナをつける季節になってきました。今年は7月21日、8月2日が丑の日に当たります。

 今ではウナギ=夏というイメージが定着していますが、実はウナギの旬は秋~冬にかけて。「新仔ウナギ」という特別なウナギが出回ります。

 ではどうして、丑の日にウナギを食べる風習ができたのでしょうか? 諸説ありますが、江戸時代、商売がうまくいかないウナギ屋が「丑の日に『う』がつくものを食べると夏負けしない」という言い伝えをもとに「本日、丑の日」と書いて店先に張ることを平賀源内に勧められたら大当たりしたのが始まりだそうです。他のウナギ屋も真似し、現在もウナギを食べる風習が残っているといわれています。とはいえ、暑さで疲労が蓄積しやすい夏に、ウナギはもってこいの食材なのです。

 皮膚や粘膜、目の健康を維持するビタミンAはかば焼き1尾分(150グラム当量)に、成人1日当たりの推奨量の約2倍以上含まれます。ただし、ビタミンAは過剰症のリスクもあるので食べすぎには注意しましょう。

 また、ウナギは代謝を促進するビタミンB1や、口内炎や角膜炎などを予防してくれるビタミンB2も豊富。今から活動するという朝食にぜひ食べてみてください。

 なお、n―3系脂肪酸のひとつであるDHA、EPAも含まれます。体内では合成できない脂肪酸で、中性脂肪を下げてくれる効果が認められています。年齢で若干ばらつきますが、生活習慣病を予防するためにはn―3系脂肪酸を約2グラムは摂取したいといわれています。かば焼き1尾に含まれるDHAが1950ミリグラム、EPAが1125ミリグラム程度ですので、1尾食べればDHA、EPA合わせて目標量に達することができます。

 また、DHAとEPAは体内時計をリセットする作用も強いことが報告されているので、朝食に食べると体をシャキッと活動できる状態にすることができるでしょう。

 商売戦略的に始まった丑の日のウナギですが、夏に取りたい栄養素が豊富なことは間違いありません。今年の丑の日もウナギを食べてみてはいかがでしょうか?

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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