時間栄養学と旬の食材

ビタミンとミネラルが豊富な「タラ」は夜に鍋で食べる

これからの季節お鍋もオススメ
これからの季節お鍋もオススメ

 漢字にすると「魚へんに雪」と書くように、冬を代表する魚、タラ。その種類はマダラ、スケトウダラ、コマイなどたくさんありますが、北海道や北陸ではスケトウダラを、その他の地域ではマダラをタラと呼ぶことが多いといいます。スケトウダラの卵巣を塩蔵したものがタラコになります。

 タラは日本食品標準成分表における生のマダラ100グラムのエネルギーは77キロカロリー、タンパク質は17.6グラム、脂質は0.2グラム。同量の鮭のエネルギーは138キロカロリー、タンパク質は18グラム、脂質は3.6グラムであることからも、高タンパク低脂質であることがわかります。脂質が少ない分、エネルギーも少ないのです。

 その他ビタミン類もバランスよく含まれていて、特にカルシウムやリンなどの吸収力を高め、骨を丈夫にしてくれる働きがあるビタミンDが多く含まれています。今年新しく改定された日本人の食事摂取基準2020年度版でも、積極的な摂取がうたわれているほど、ビタミンDは今の日本人に不足している栄養素のひとつです。

 また、緑黄色野菜などに多く含まれるビタミンB群の一種で、胎児の正常な発育に欠かせない葉酸も含まれます。特にタラコにはビタミンB群の中でもエネルギーをつくり出して疲労回復の働きのあるビタミンB1や、肌荒れや口内炎を予防してくれるビタミンB2が豊富に含まれています。

 タラに含まれるミネラルの中で注目したいのが髪や皮膚を美しく保つのに役立つヨウ素や、高血圧の予防のためのカリウム。あっさりとしていますが、非常にたくさんの栄養素に恵まれているのです。

 時間栄養学的に「タンパク質やDHA、EPAの豊富な魚は炭水化物とともに朝食べましょう」と言っていますが、実はタンパク質オンリーでは体内時計はそこまでリセット効果はありません。 また、DHA、EPAもタラに含まれていますが、その量はサンマの約40分の1しかありません。そのため、ぜひ夜に食べたい魚といえるでしょう。タラ鍋など、炭水化物はなるべく取らずに食べるのがオススメです。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

関連記事