朝の体のこわばり、関節の痛みや腫れはリウマチの初期症状

手や足の関節に痛みやこわばりが続く場合はリウマチの疑いが…
手や足の関節に痛みやこわばりが続く場合はリウマチの疑いが…(C)日刊ゲンダイ

「冬や梅雨の時季に悪化する人が多い」ともいわれるのが、リウマチだ。個人差があるのでその是非は別にして、確実に言えるのは、リウマチらしき症状があれば早い段階でリウマチに詳しい医師に診てもらうべきだということ。聖マリアンナ医科大学リウマチ・膠原病・アレルギー内科部長の川畑仁人医師に聞いた。

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「リウマチは早期発見と適切な治療によって、寛解(症状が出ない状態を維持する)に至る可能性が高くなります」

 しかし、なかなか診断がつかず、リウマチと診断されるまで何年もかかる患者もいる。

「早期のリウマチは、血液検査に頼りすぎていると見逃してしまう危険性があります」

 血液検査では、炎症、抗CCP抗体やリウマトイド因子の有無などを調べる。ところが、早期では、血液検査では炎症がほとんど確認されないケースが少なくない。抗CCP抗体やリウマトイド因子も、発症半年ほどでは5割くらいが陰性、1年以上経っても2~3割は陰性だ。

「血液検査で、最初から抗CCP抗体やリウマトイド因子、炎症反応が陽性であれば診断も難しくありませんが、これらが陰性であっても、関節リウマチは否定できません。早期には骨X線検査で異常を認めないことも多く、むしろ異常を認める前に治療をすべきです」

 早期発見のために知っておくべきなのは症状。手や足の指などの小さな関節に複数箇所、痛みや腫れ、こわばりがあり、それが6週間以上続く場合、リウマチがまず疑われる。また海外では、リウマチの早期発見のポイントとして「朝の体のこわばり」「関節の腫れ」「一方の手でもう一方の人さし指から小指までを握った時に痛みが出る」が挙げられている。

「リウマチらしき症状があり、血液検査で原因が分からなければ、専門医による診察と超音波検査などの画像検査を受けるべきです」 

 リウマチと診断されれば薬物治療が始まる。

「理想は、発症6カ月以内にしっかりした治療を行うこと。一部の人になりますが、完全に薬をやめられる人もいます」

■たばこと歯周病がリスクを高める

 リウマチの薬には、消炎鎮痛薬、ステロイド、抗リウマチ薬、生物学的製剤、JAK阻害薬がある。最初に使う薬として世界的に推奨されているのは抗リウマチ薬のメトトレキサート。3カ月を一つの目安として使う。効果不十分な場合は、ほかの抗リウマチ薬に変更するか、生物学的製剤やJAK阻害薬を追加。それでも効果不十分なら、別のメカニズムの薬に変更する。例えば、生物学的製剤からJAK阻害薬に変更したり、メカニズムが違う別の生物学的製剤に変更するなど、だ。

「効果が良ければそのまま継続し、症状が安定した段階で薬の量を減量したり、注射や飲む間隔を空けていきます。減量や間隔を空けても良い状態が続く場合は、生物学的製剤やJAK阻害薬はゼロにし、メトトレキサートだけで症状をコントロールできる可能性も生まれてきます」

 リウマチは家系に患者がいると、なりやすさが伝わる場合もある。しかし、より発症に影響しているのは環境要因だ。環境要因に気を付けることで予防できないか世界で検討されている。

「発症に関係する因子としては、喫煙(副流煙も含む)と歯周病です。たばこはお勧めできませんし、歯のケアもきちんとやってもらいます」

 なお、リウマチに関連したサプリメントや民間療法も出回っているが、世界的に患者数が多いリウマチは治療法が確立されている。スタンダードな治療が基本になる。

■痛みが強い場合は?

 メトトレキサートなどの根本的な治療がうまくいった場合でも、効果発現まで1~3カ月かかるので、痛みが出ることも。その場合は非ステロイド性抗炎症薬やステロイド関節注射などによる対症療法が必要。関節破壊の結果で炎症がなくとも痛みが起こる場合があり、それには抗リウマチ薬を強くしても痛みが改善されない。

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